Les Madeleines de Proust (Illiers-Combray)
2009年 06月 03日
ぷっくりしたおへそのある貝殻の形がなんとも愛おしく、いつどこで誰がこの形で焼き始めたのか?
なぞに満ちた、研究心をくすぐるお菓子です。
日本ではお菓子屋さんに必ずあるアイテムで1つずつ包装されて販売されていますが
フランスではお菓子屋さんというより、大きな袋入りのものをスーパー等で買うイメージ。
また、マドレーヌをスペシャリテにしている町もいくつかあります。
Marcel Proust(1871-1922);マルセル・プルーストの本に出てくるマドレーヌのお話は、
実際に本を読んだことが無い人でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
(お気付きの通り、ブログのタイトルはプルーストの「A la recherche du temps perdu;
失われた時を求めて」をもじったものです笑)
私が最初にIlliers-Combrayを訪れたのは1991年9月のこと。
2度目の留学の時、RouenにあるINBPという国立製菓・製パン学校へ入る前、
フランス各地を転々と移動しながら語学学校に通っている時でした。
元はIlliersという名前でしたが、プルーストがCombrayという架空の名前で小説を書いたことで有名になり、1971年、プルースト生誕100年を記念してIlliers-Combrayに改名されています。
実際この町は父の生まれ故郷。
マルセルが小さい頃、この町にある叔母Elisabeth Amiotの家でヴァカンスを過ごしたのだとか。
本に出てくるMaison de Tante Léonie;レオニ叔母さんの家はプルースト博物館になっていて見学可能。(写真→)2階にある叔母さんの寝室にはマドレーヌが置いてあり、まるで物語の世界に入り込んだよう。
「ここで紅茶(或いは菩提樹のハーブティ)にマドレーヌをひとかけら浸し、スプーンですくって…」とまるで今小説の中にいるかよう…。
この近くに「レオニ叔母さんがマドレーヌを買っていた」という看板を掲げるというお菓子屋さんがあって、袋入りのマドレーヌを買うことが出来ます。
こちらは最初に訪れた時のお菓子屋さんとマドレーヌ
2度目に訪れたのは2006年10月
車でノルマンディーへ行く途中、またマドレーヌを買いたくて。
お店が全く変っていなかったことはビックリと同時に嬉しいものでした。
(でも前には無かった箱入りが登場…。とはいえ所有者のChristian Védieさんは代わらずそのまま !)
こちらは2回目に訪れた時。↑上と全く同じでしょ?(笑)
ここのマドレーヌの特徴は丸っこい形。
一般的なものは細長いものですが、より帆立貝に近いこの形が私のお気に入り。
マドレーヌがスペシャリテになっている町はスペインのサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼道沿いにあると言われ、巡礼の印で器としても使われていたという帆立貝とマドレーヌを結びつけて考えられています。
この町にある教会の名前はEglise Saint Jacques;サン・ジャック教会。
やはりこの町も巡礼道上にあったのでした。
さて、小説の主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にして、幼少期の出来事を思い出したように、
味覚や嗅覚からふと過去の記憶が蘇ることを「プルースト現象」等と呼ばれますが、
私にとって薪で燻された香りがそれにあたり、両親の実家で過ごした夏休みのことが鮮明に蘇ってきます。
あなたにとって「プルーストのマドレーヌ」は何ですか?
こう言ったお菓子屋さんのマドレーヌは格別でしょうね。
たべたくなりました!