Carreaux de Ponchon et fèves ;ポンションのタイルとフェーヴ
2009年 08月 17日
人口千人余りの小さな村。
この地方は元々陶器生産が盛んなところでしたが、この村では1824年から1920年のおよそ1世紀の間8つの製作所により沢山のタイルが生産されていました。
ナポレオン3世の構想に沿り、セーヌ県知事であったオスマンが1852年から1870年にかけて行った「パリ改造計画」と、水道施設が行き渡ったお陰でタイルの需要が高まったことがこの村のタイル生産を活気付けた大きな要因でした。
Givernyにあるモネの家のタイルもPonchonのもの(おそらくオテルタタンにあるタタン姉妹のポタジェに使われているタイルも)。
1981年に近くのNoaillesにアトリエを構えたセラミストSylvie ThémereauさんはPonchonで伝統のタイル作りを受け継いでくれる人を募っていたのがきっかけで89年、ここへ引っ越してきました。
伝統的なタイルのモチーフを集めたり、村の人たちの協力もあって、かつて作られていたタイルを再現したり、注文で装飾的なパネルの作成や器などの作品を作っています。
昨年彼女のアトリエを訪れる機会がありました。
彼女の作った小さなタイル形のフェーヴに出会ったのがきっかけです。
お宅でお昼をご馳走になりましたが、アーティストらしい素敵なお部屋にうっとり。
お借りしたトイレにはヴァカンスで行った思い出の砂浜の砂が試験管に入れて素敵に飾られていたり…♪
↑ アトリエの看板 近郊ではレンガや瓦も作られていたため レンガ造りの建物が多く見られる
アトリエは別棟でショップも兼ねています。
そこでタイルの型染めの方法などを見学させて頂いたり、作品を見せていただきました。
白い釉薬に主に青い連続模様のモチーフがここの伝統的なタイルの特徴。
<ここでの一般的なタイル作りの過程>
素焼きのタイルに白い釉薬を掛けて焼成。
ステンシルの要領でPochoirを使って彩色。
(タイルによってはこれに線描きを加えたり、別の色を描き加えることもある)
もう一度焼成して色を定着。
所有者が代わり注文が無くなった為作らなくなったのですが、とても手間がかかるので余程のことが無い限りもう作るつもりは無いといいます。
↑タイルとフェーヴ
もう作っていないのがちょっと残念。
↑ 店に飾ってあるPonchonタイルを使ったレンジ
彼女の作品はなにか日本的なものを感じさせるところがあって親しみ深く感じます。
都会ではなくても両親が共働きで家に誰もいない家庭も多いとか。
学校帰りの子供たちも気軽に立ち寄れる雰囲気は近々予定しているアトリエの改装後も変わらないことでしょう。
Faiënces de Ponchon
645, rue de Pierrepont (hameau de Pierrepont) 60430 PONCHON
Sylvie Thémereau
事前予約すれば工房の見学も可能(取材時)。
もう、また行ってみたいところ増えちゃいましたよ(笑)
タイル1枚でもこんなに手間がかかっていることがわかってビックリしました。フレンチカントリー好きにはたまらないタイルです(沢山買って帰りたかった~)♪
タイルの青色が素敵ですね。この色合いが好きです。
棒を使って絵付けしてるのもすごいなぁ〜。
手間がかかってる分、味わいも出て来ますね。
このタイル欲しいなぁ〜。