Le Soleil de Marcillac ;ソレイユ・ドゥ・マルシヤック
2009年 09月 06日
Vallonが小さな谷を意味することから分かるように小さな渓谷となっており、斜面を利用してブドウ(95%がMansois;マンソワの地元名を持つ品種Fer Servadou)が植えられ、AOC Marcillac(1990年~赤・ロゼ)が造られています。
この町で作られているお菓子のスペシャリテがSoleil de Marcillac ;ソレイユ・ドゥ・マルシヤック。
(同じ谷内にある別の町でもそれぞれにSoleilが作られています)
「Soleil」はフランス語で「太陽」を意味し、和訳すると「マルシヤックの太陽」という名前になります。
円形で、まわりにあるギザギザが太陽光線を表しているのだそう。
オレンジフラワーウオーターで香り付けし、上にはアーモンドとあられ糖が振ってある素朴な焼き菓子。
(ナッツはホールのノワゼットが使われることもありますが、元々は地元で採れる胡桃が使われていたそうで
注文すれば胡桃に代えてくれる店もあります)
いつからあるのか?どうしてこの形なのか?などは残念ながら全く分かっていません。1940年以前からパン屋がパンの焼成後、他のfouace;フアスやタルトと一緒にこれを焼いていて、それは現在のものとほとんど同じものであったことが分かっている程度。
この地を訪れたのは2002年7月のことでした。ヴァカンスシーズンも始まり、この辺りにも多くのヴァカンス客がいて、かつて塩が地中海から馬で運ばれていたのを再現するイヴェント等も行われていました。
マルシヤックへもそのおかげで無事到着!
Michel Varin氏がソレイユの成形法を実演してくださいました。
作り手によって違いますが基本的な作り方はこんな感じ。
・小麦粉、砂糖、卵、バター、塩、オレンジフラワーウオーターで生地を作り、寝かせる。
・丸く平らに伸ばして周囲に切込みを入れて2本1組でクロスする。
・真ん中に十字の切込みを入れて折り返し、表面を卵でドレし、アーモンドスライスとあられ糖を散らす。
・200度のオーブンで焼く。
途中Estève氏と地元紙の記者が来て逆取材。
その後、場所を移し観光局や町の方々が集まってこの付近で作られている3種類のソレイユと冷えたマルシヤック・ロゼで歓迎してくださいました。
また結婚式の祝杯に添えられたり、家族や仲間同士でカフェを飲む時1切れ買って一緒に食べるという習慣もありましたが、現在ではそれも廃れつつあるのだとか。
今でも変わらず続いている習慣は、毎年lundi de Pentecôteの日(聖霊降臨祭の月曜日)に行われるMarcillacのブドウ栽培者のお祭り「La Saint-Bourrou」のミサでは必ずソレイユとマンソワ(マルシヤックのワイン)で終ること。
Saint-Bourrouはマルシヤックのブドウ農家の聖人。Bourgeon(ラングドック語でBourrou) de la vigne;ブドウの新芽に由来する聖人です。冬の間枯れ枝のようだった枝が無事に新芽を出し、沢山実がなることを願うもので、それに太陽の形をしたお菓子を組み合わせるというのはとても自然な感じがします。
「このお祭りの為に作られたお菓子」というのは間違いないようですね。
(Aveyron県ではこの近くにvins d’Estaing,vins d’Entraygues、また東部にCôtes de Millauがありますが
いずれもVDQS。AOCはMarcillacのみ)
この町には古いFour Communal;共用オーブンがあるとEstèveさんが案内してくれました。・・・が、知らないうちに敷地の持ち主が工事を始めていて1部しか見えなくなっていた!
同様のものはあまり残っていないのでちょっと残念・・・。
やっぱり、オレンジフラワーウォーターはたっぷりと香るのかな~。
日本でお祝いの時に食べるものというと真っ先に「お餅」が浮かびます。
(各地方に伝わる独特の食べ物が残っているはず)
日本では普段食べないもち米、ヨーロッパでも普段は使われない小麦粉の上質な部分を使って作られる、非日常の楽しい日の食べ物。
今よりもその喜びは大きかったはずですね。
この地方で日常的に食べられる(特に朝食時)fouace同様オレンジフラワーウオーターはしっかり香っていましたよ~。
このお菓子にもオレンジ花水がつかわれているんですね。
3種のソレイユにマルシャックロゼで歓迎されて良かったですね。
実は私、残念な事にアルコールが飲めません!