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フランスの伝統菓子 Tourtière ; トゥルティエール その①

フランス南西部で見られるお菓子。地域によって違う名前が付いています。
例えば…
Tourtière ; トゥルティエール=Dordogne県、Lot-et-Garonne県、Landes県
Croustade ; クルスタード=Gers県、Ariège県、Lot県
Pastis ; パスティス=Quercy地方(Cahors ;カオールを中心とする旧州)
           Gers県ではPastis gascon; パスティス ガスコンとも呼ばれる。


生地をごく薄く伸ばして重ねる作り方は古く7-8世紀、ローマ帝国の支配が弱まってきたころ、
地中海沿岸地域がサラセン人によって侵攻されていた時期に遡ります。
711年イスラム帝国(ウマイヤ朝)がピレネー山脈を越え、当時のフランク王国(カロリング朝)へ侵入
占領して行きました。
732年「トゥール・ポワティエの戦い」でシャルル・マルテルがサラセン人を撃破し、退却。
『この時に作り方が伝えられた』と言われています。
とは言えその製造はフランス南西部に限らず、リエージュで料理長をしていたLancelot de Casteauが
1604年に出版した本の中には同じ製法で作られる「tourte」が掲載されています。
また、現在でもオーストリアをはじめとする地域で見られる「Strudel ; シュトルーデル」や
ポルトガルの「Pastéis de tentúgal ; パステイシュ・デ・テントゥガル」と言ったお菓子が作られています。
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↑ Konditorei FercherのMilchrahmstrudel   ↑ Café AndréのPastel de Tentúgal

これらは地中海沿岸の各地で見られるパート・フィロを使ったバクラヴァ系のお菓子と同じ起源を持ったもの
と考えられます。

それまでもこのお菓子に出会ったことはありましたが、作っているところを見たくて、年に一度「Foire à la tourtière ; トゥルティエール祭」を開催しているPenne d’Agenaisの観光局に問い合わせ、デモンストレーションをしてくれる方を紹介して頂きました。
その中で訪問を快諾してくださったのがBonaguil ; ボナギルに住むOdette Salesse ; オデット サレスさん。

この地を訪れたのは2000年の6月。
電車も通っていない所だった為、大方の行き方しか分からないままのちょっぴり不安な旅でした。
(まあ、いつもこんな感じ…^^)
プリュノーで有名なAgen;アジャンから1両編成の電車で30分、Monsempron Libosでバスに乗り換えてCondatで下車。バス停からはSalesse さんが車で迎えに来て下さることになり、なんとか無事目的地へ到着したのでした。
バス停からは2km程のドライブ。途中木陰から現れるChâteau de Bonaguil ; ボナギル城はとても美しく、感動的♪

b0189215_14484264.jpg彼女の家はトウモロコシや穀類、たばこを栽培している他に、牛や豚等も
飼っている典型的な農家。
お宅へ到着すると、新しく家を建てる時に作ったそうで、大きなテーブルを
いくつも並べた広い工房へ案内されました。
さらに奥のダイニングキッチンへ通されて、まずはお味見から♪。

b0189215_1521794.jpg温かくないと美味しくないとのことでレンジで温めたものを頂きました。飼っている豚から作った自家製のパテ等も!
繊細な見た目に反して、ホールの状態で1週間以上日持ちするそうな。
彼女は近隣のお店へ卸したり、直接家でも販売しているそうですが、お店からの注文で数日置くこともあるからと
ラム酒をたっぷり入れるよう頼まれている為、味見させて頂いたものも当然しっかり効いていました。
表面の飾りがとても特徴的で美しい。作り方はおばあさんから習ったそうで、お母さんは作れないとか。
もう30年も作っているベテランです。

さて、いよいよ工房へ移動して作り方を見せて頂きます。
材料は10-12人前で『小麦粉1kg、卵2個、塩、油大匙3杯、バニラオイル、水500ml

生地は水をたっぷり加え、プロ用の大きな生地をこねる機械にかけてから、1時間寝かせたものを使います。
寝かせるのは1時間で充分。それ以上寝かせても変わらないとか。粉も油も普通のものを使っているそうです。
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寝かせた生地を白い布を敷いた大きなテーブルの中央に置き、テーブルの長さに合わせて縦に伸ばします。b0189215_15101323.jpgb0189215_15113783.jpg

端から生地をのばしながらテーブルの周りを2周。これであっと言う間にテーブルいっぱいに広げられました。
テーブルからはみ出した部分をナイフで切り落とします。
(切り取った生地は1つにまとめて水を加え、再びこねて再利用。それでも残ったものは焼いて豚ちゃんのおやつに)
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次に、上に吊るしてあるガスのラジエーターをテーブルの上に移動させて点火。これで生地を乾かします。
夏の間はあっと言う間に乾くそうですが、この時期(6月)は乾燥に時間がかかるので、これを使わないと
かなり時間がかかるそう。


この他に2~3個生地を伸ばす作業をしましたが、1個だけ私もやらせて頂きました。
とっても柔らかい生地なので思い切ってやらないとすぐに伸びてしまって、折り目が出来たり、穴があいてしまいます。
(というよりも実際、穴を1つ作ってしまいました…^^;)。

生地がある程度乾いて透明になってきたら(パリパリに乾燥させないのがポイント)、ローラーを使って溶かしバター
を塗ります。刷毛では時間がかかり過ぎるので、ローラーを使うことを思いついたそう。
(おばあさんの頃はガチョウの脂を使い、ガチョウの羽根で塗っていました)
そして全体にグラニュー糖を軽く振ります。

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型には大中小の鉄製フライパンを使用。
オーブンへ入れやすいように柄を短く切断してあります。これに油を塗って使います。
(小さいサイズは4人分。中位のサイズにはテーブル2台分の生地が必要になる)

テーブルナイフで適度に乾燥した生地を適当に丸く切って型に敷きます。
何枚か重ねて、リンゴを乗せる前には型に合わせて丸く切ったものを重ねていました。
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リンゴはフランスで多く栽培されているpomme golden ; ゴールデン・デリシャスを使っています。
皮をむき、半分に切って芯を取り、薄切りにしたものを、中央からあまり重ねないようにして並べて行きます。
バニラオイルを加えた水を小さなコップ1杯注ぎ、さらに同量のラム酒を注きます。
(想像していたよりも液体が沢山入るのでビックリ!)
  
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その後さらに生地を重ね、最後は少し小さめに丸く切った生地の一方にひだを寄せて丸め、全体にきれいに並べて
終わり。(この上の部分に使う生地は乾燥しすぎていないものが作業しやすい)
あとは中くらいのオーブンで45分焼いて完成!

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この菓子は元々カーニヴァルのお菓子だったそうです。
シンプルな身近にある材料で出来るわりには豪華なので、お祝い事にも多く作られたことでしょう。
甘いデザートだけではなく、一昔前には『la tourtière au poulat et au salsifis ;鶏肉とサルシフィ(西洋ごぼうと
呼ばれる根菜)のトゥルティエール』と言った料理も作られていたそうで、おばあさんたちの中には今でも作る人がいると
聞きました。(ボナギルの北部にあたるドルドーニュ県では観光客向けにこの料理を出す所があるようです)

7月の第2日曜日には行われるお祭りではTourtièreを作る人が何人も集まってものすごい数が販売されるとか。
「今度はもっと色々なトゥルティエールが食べてみたい!」と、再訪を誓ったのでした。(その②へ続く…)


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by Ethno-PATISSERIE | 2010-11-01 16:08 | ②Aquitaine | Trackback | Comments(2)
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Commented by M at 2013-04-17 15:39 x
トゥルティエール、やっぱり食べたい!
薄い一枚生地の大きさにびっくりしました
MilchrahmstrudelとPastel de Tentúgalも美味しそうだなぁ〜。
早くフランスに行って地方のパティスリー巡りたいです。
今年はまだ、行けるかわからないんですよ。
roiboitさんは、今年、フランスへ行きますか? 
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-04-18 11:08
Mさん 材料はシンプルでも、手間暇と愛情をかければこんなに素敵で美味しいお菓子になるんですよね。作っているところを見せて頂いて、とても勉強になりました。
私は事情があって当分家から出られそうにありませんが、フランスへ行けるといいですね!
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