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Paques ; パック(復活祭)について

パック(復活祭)はキリスト教の行事で最も古いものの1つであり、最も重要な行事。
十字架にかけられて死んだキリストが3日目に復活したことを記念しています。
キリストは木曜日の弟子たちと最後の晩餐後、金曜日にゴルゴダの丘で磔の刑にされ埋葬。
日曜日にマリアたちが墓を訪ねるとその遺体はなく、天使がキリストの復活を告げる
』のです。
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<Paques ; パックの日にち>
教会法(第1ニカイア公会議の決議)では
復活祭は3月21日(暦上の春分の日)以降の最初の満月を過ぎた後の最初の日曜日
とされる移動祝祭日です。

*教会暦による春分の日は3月21日に固定されています。
春分とは「太陽が春分点を通過した瞬間(太陽黄経が0度になった時)」で3月21日頃。
2011年は3月20日23 :20がその春分の瞬間でした。
これが起こる日を「春分日」と呼び、日本で国民の祝日となっている「春分の日」は
国立天文台が定気法によって算出された春分日を基にして前年2月1日に閣議決定されています。
*グレゴリオ暦を用いる西方教会では3月22日~4月25日に間、
ユリウス暦を用いる東方教会ではグレゴリオ暦の4月4日~5月8日の間にあたります。
その為、年によって西方教会と東方教会の復活祭の日が異なる場合もあります。
今年は双方とも4月24日と同日でした。


<Paques ; パックの名前の由来>

フランス語で復活祭を意味するPaques ; パックは
ユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭り」を表す「Pesach;ペサハ」というヘブライ語に由来しています。
これはキリスト教の復活祭が元々ユダヤ教の「過越の祭り」から生まれたものであることを示しています。

*ユダヤ教の過越の祭り Pesach;ペサハとは、古代エジプトでアビブ(ニサン)の月に起こったとされる出来事と
それを起源とするユダヤ教行事のこと。
『エジプトで虐げられていたヘブライ人(ユダヤ人)たちが預言者モーセに率いられ、この地から逃れようとした際(旧約聖書「出エジプト記」)、ファラオががこれを妨害しようとする。そこで神は、エジプトに対し「十の災い」を臨ませる。
その十番目の災いは、人間から家畜に至るまでエジプトの「長子を皆殺しにする」というものだった。
神はモーセに「子羊の血で家の扉の上に印を付けた家以外にその災いを臨ませる」ことを伝える。
過越の祭り(Pesach;ペサハ)は神の約束通り、死を運ぶ天使はユダヤ人の家を過越してエジプトの民だけに訪れた』
という伝説に由来しています。


キリスト教では十字架で処刑されたキリストの死を過越に屠られる子羊に重ね合わせて理解され、
過越の子羊がユダヤ人を奴隷から解放したとすれば、キリストの死は人類を罪から解放した出来事であると解釈されているのです。

<Easter ;イースターの名前の由来>
Paques ; パックがユダヤ教のPesach;ペサハに由来するのだとすると、
同じ復活祭を表す英語のEaster ;イースターやドイツ語のOstern ; オースタンはどこから来たのでしょう?

8世紀の教会史家ベーダ・ヴェネラビリスが「ゲルマン人がEostremonat ;エオストレモナト(春の月名)に春の到来を祝う祭りを行っていた」ことを記録しており、これに由来していると言われています。
ゲルマン人がOstara ;オスタラ、アングロ・サクソン人がEostre ;エオストレと書いた春の女神は、寒い冬の間眠っていた生命が春の訪れと共に目を覚まし、新しい生命と更なる繁栄を願い、春分に祝われてしました。
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               ↑ 暗く寒い冬。すべての生き物が眠っているかのごとく…

* 春分の日、太陽はまさしく東(英語East、ドイツ語Osten)から昇ります(勿論いつでも太陽は東からですけどね^^)
つまり春の女神は「東」の女神で、ローマ神話の「曙の女神Aurora ;アウロラ」、ギリシャ神話の「暁の女神Éos ;エオス」等の女神に結びつき、そしてこれらは全て「夜明けの女神Hausos;ハウソス」に由来しており、寒く厳しい冬の後の生命と大地の復活を象徴しているというのです。

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              ↑ 春は明るく、生命の躍動を感じる…

古くは(キリスト教から見た)異教の春の祭りだったものが、キリスト教布教の際に
キリスト復活と春を祝う女神信仰を「生命への希望」という共通点によって結び付け、これを取り込んでいったのです。


さて、次回は「復活祭の卵やウサギについて」…
Commented by lecahierbleu at 2011-04-24 05:14
お久しぶりです!
う~ん、勉強になりました。
次回の「復活祭の卵やウサギについて」はますます興味津々です!!

復活祭のカードも可愛いですよね。実は復活祭は私のフェーヴ・コレクションのテーマの一つでもあるのですよ~。可愛いシリーズがたくさんあるので♪
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2011-04-24 10:07
◎mikaさん♥ご無沙汰しております。
今年のフェーヴについてupしないまま現在に至っています^^:
わ~復活祭テーマのフェーヴコレクション、ぜひ紹介して下さい!!!
Commented by りんご at 2011-04-24 21:29 x
こんばんは
お菓子のこと、すごくたくさん書かれているブログで、すごく楽しく読みふけってしまいました。特にガレット・デ・ロアが大好きなので、写真を見ては、「食べたい~」と眺めてました。
美味しいお菓子の写真、色々見たいので、これからも楽しみにしています。
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2011-04-24 22:12
◎りんごさん、嬉しいコメントをありがとうございます!
「ガレット・デ・ロワが大好き」というのも嬉しい限りです(感涙)。
これからもどうぞよろしくお願いします。
Commented by M at 2013-03-29 09:39 x
Pâquesパック、今年は3月31日ですね。
フランスの友達の子供達は、ヴァカンスに入ってます。
庭にタマゴ型のショコラを隠して探させるそうですよ。
上の絵はがきはroiboitさんのコレクションですか?素敵です!
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-03-29 11:12
Mさん お庭で卵探し、きっと子供の頃のいい思い出になりますね♪
色々なものをコレクションしていますが、絵ハガキもその1つです^^
by Ethno-PATISSERIE | 2011-04-23 22:40 | キリスト教 行事 | Trackback | Comments(6)

<仏蘭西菓子研究所>フランス地方菓子&行事菓子 ガトーデロワ&フェーヴ *by roiboit*


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