人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ

地方の素朴なマカロンやマスパンに興味があるので、機会のある時に少しずつ取材しています。


フランスで「Massepains ; マスパン」というと、
お菓子の材料である「pâte d’amandes ; パート・ダマンド」を指すこともありますが、
ここでは完成されたお菓子である「マスパン」のこと。

◎マスパンという名前の付いたお菓子は、大きく3タイプに分けることが出来ます。
・アーモンド+フルーツの「カリソン」タイプ
・アーモンドベースの素朴な「マカロン」タイプ
・ビスキュイタイプ(アーモンドは入っていない)



リモージュからバスで30分程のところにあるSaint-Léonard de Noblat ; サンレオナール・ドゥ・ノブラでは、
マカロンタイプのマスパンが作られています。

以前リモージュへ訪れた際、ここへ行ってみようと試みたことがありましたが、
バスしかなく、本数も少なかったため諦めたのでした。
その後2006年5月「Confrérie des Lichonneux de Tarte Tatin」のChapitre;シャピトルに参加した際、
たまたま「Confrérie du Massepain de Saint-Léonard de Noblat ;コンフレリー・デュ・マスパン・ドゥ・
サン・レオナール・ドゥ・ノブラ」のメンバーが参加していて、お話をしたのをきっかけに、
再び行ってみようと思い立ったのでした。



町の中心にあるロマネスク様式のCollégiale;コレジアル(司祭ではなく参事会は管理する教会)は
ユネスコの世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路」の中に登録されています。
古い建物も多く残されていて、中世の面影を感じさせてくれます。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_21563750.jpg
コレジアル内には囚人の擁護者で、病気の家畜、産婦の守護者とされるSaint Léonard de Noblac
聖レオナルド(レオナルドゥス)の墓があり、囚人の鎖で飾られています。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_2292957.jpg
「結婚や子供を望む女性たちが鎖についている差し錠を触りに訪れる」という慣習があるのだとか。。



この町のマスパンは1899年に「Camille Petitjean;カミーユ・プティジャン」が売り出したことから始まったと言います。
(看板にはdepuis 1830と書かれていて、店の創業の方がマスパンの生まれた年よりも古かったことが分かります。
またこの看板は後にルセットを受け付いたSerge Rampnoux氏の名前が書かれています)
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_2228321.jpg

元となったルセットは、食料品店を営んでいた彼のおばMme. Betouleから受け継いだもので、
彼女自身は「町に立ち寄ったスイス人修道士に教わった」と言われています。
カミーユの後は娘のジャンヌが彼女の子供、ガベル夫妻の協力でこれを作り続けたそうです。

一方『マスパンは近くにあった「アルティージュ修道院」に由来する作り方によって作られていたものである』
という話もあります。
地元の修道院で作られていたマスパンが一般に広まり、
プティジャン氏が改良して大々的に売り出したということも考えられますね。
当時は薪オーブンで焼かれていたそうですので、薪の香りが付いてさらに美味しかったでしょう^^



*******************************************************************


さて訪問当日は、町のパティシエFernand Coignac 氏とアポイントを取っていたのですが、
店へ到着すると店が閉まっていて誰もいない…(涙)。
(どうも定休日と気付かずに訪問のOKをくれたようで…^^;)

Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_22405817.jpg仕方が無いので、ご挨拶の手紙を出していた
「Confrérie du Massepain」のMm.Bigas宅へダメモトで
行ってみると、幸い在宅しており少しだけお話をお聞きすることが出来、さらには「Pâtisserie Caron;パティスリーカノン」のJérôme Caron氏をご紹介くださって、
幸運にも作り方を見せていただくことが出来ました。
*残念ながら現在Pâtisserie Caronは無いようです。移転したのかどうか等も不明
観光局に問い合わせたところ、閉店したとの返事がきました。
現在マスパンの製造販売をしているのはPâtisserie Coignac、Pâtisserie Colignon 、Pâtisserie Gouissemの
3店だそうです。



<作り方>
・皮をむいたスペイン産のアーモンドを粉砂糖と一緒に↓の機械にかけてすりつぶす。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_22495864.jpg

・メレンゲを加えて混ぜ合わせ、室温で寝かせる。
・卵白等を加えて生地を調整。

・オーブンシートを敷いたプラックに、絞り出し袋で生地を絞る。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_22581823.jpg

・表面に刷毛で水を塗る。
・オーブンで焼く。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_235146.jpg


主材料はマカロン『同様アーモンド、砂糖、卵白』と単純。
材料の割合、生地を寝かせる時間や焼き方等によって仕上がりは微妙に異なり面白い。

この時は「Caron, Gouissem,Colignon, Aux Folies Gourmandes」の4種類を食べ比べです♪
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_2332567.jpg ← Caron以外の3種類。左がGouissem


教会の前にあったPetitjean氏の店はそのまま残されていましたが、店は閉じられたまま。
(今はどうなっているのでしょ?)。
Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_2381531.jpg


Massepains de Saint-Léonard de Noblat; マスパン・ドゥ・サンレオナール・ドゥ・ノブラ_b0189215_23404357.jpgPâtisserie Gouissemの看板には
「Seul détenteur de la recette Petitjean ;
プティジャンのルセットの唯一の保有者」
と書かれていましたので、
Serge Rampnoux氏からルセットを受け継いだのはこのお店。

つまり、ここのマスパンがオリジナルに一番近いということですね。




にほんブログ村 スイーツブログへ
にほんブログ村 旅行ブログ フランス旅行へ





Chapitreシャピトル
* 新しいメンバーの就任式やディナー・ダンスパーティ等の行われる懇親会が行われ、
他のコンフレリーも大勢参加します。


・Pâtisserie Colignon:パティスリー・コリニョンでは古い道具を使ったマスパン製造の見学が出来ます。
要予約 電話;05 55 56 25 06

2011年度見学可能日
jeudi 21 juillet 2011 à 14h00
jeudi 28 juillet 2011 à 14h00
jeudi 04 août 2011 à 14h00
jeudi 11 août 2011 à 14h00
jeudi 18 août 2011 à 14h00
jeudi 25 août 2011 à 14h00
Commented by M at 2013-04-05 12:21 x
Caron, Gouissem,Colignon, Aux Folies Gourmandesの4種の昔ながらのマカロン、食べ比べとは贅沢だなぁ。
Caronが閉店した今では、貴重な体験となりましたね。
ラデュレのマカロンしか食べた事無い私には、羨ましいです。
パリのパティスリーで買うマカロンと地方の昔ながらのマカロンは全然違う物ですしねぇ。今度は、食べて来ようと思いました。
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-04-06 10:24
Mさん マカロン・パリジャンも嫌いと言う訳ではないのですが、好みのものに当たる確率が低くて、色粉の味がどうしても気になってしまいます。やっぱり自然な味が一番落ち着きます。機会があれば是非♪
by Ethno-PATISSERIE | 2011-07-11 00:41 | ⑭Limousin | Trackback | Comments(2)

<仏蘭西菓子研究所>フランス地方菓子&行事菓子 ガトーデロワ&フェーヴ *by roiboit*


by roiboit