マリー・アントワネットも食べた(?)「Biscuits de Montbozon ;ビスキュイ・ドゥ・モンボゾン」
2012年 04月 26日
人口500人余りの小さな町 Montbozon ;モンボゾン。
鉄道も通っておらず、バスさえも週に数本しかないこの町で
「Biscuits de Montbozon ;ビスキュイ・ドゥ・モンボゾン」は作られています。
この菓子の存在を知るきっかけは、研究テーマにしているお菓子の1つMassepains;マスパンでした。
たまたま目にした本の中に「Biscuits de Montbozon、別名 Massepain」と書かれていたので、
それほど遠くないFavernay ;ファヴェルネにあるフェーヴ会社Primeへの取材時に訪れました。
(訪問日2006,10,17)
言い伝えによるとこのビスキュイは、その昔フランス革命によってルイ16世がこの世を去った後、
宮廷パティシエだったGuichard ;ギシャールという人物がモンボゾンへ逃れてきたことに始まります。
彼はHôtel de la Croix d’Or ;オテル・ドゥ・ラ・クロワ・ドールというホテルで余生を過ごし、
そして、隣人であり日用品やお菓子を売る店の所有者であったMademoiselle Prudhon ;プリュドンさんに
このビスキュイのルセットを教えたのだとか。
(L’inventaire de patrimoine culinaire de la France ;Franche-Comté ;1993による)
* このホテルの所有者がLanternier ;ランテルニエ家で、彼が直接この一家にルセットを教えたとする説もある。
彼女はこのビスキュイを販売、その後そのルセットはCaney氏に引き継がれます。
* このビスキュイはCaney氏によって1857年商標登録されている。
工房が2つとなりました。
その一方は婚姻によりランテルニエ家によってルセットは引き継がれ、次いで第一次世界大戦前に
現在の所有者Frédérique Ventron-Cuseniers ;フレデリック・ヴァントロン・キュズニエさんの
祖父Jules Ventron ;ジュール・ヴァントロン氏へと引き継がれました。
そして2006年、段差もあって働き辛かったという以前工房&店から600m程の所へ近代的な工房と販売所を
モンボゾン出身のBoisson氏がルセットを取得し、Favernay ;ファヴェルネで製造販売をしていましたが
ここを訪れた際には既に店を閉めた後でした。
さて、肝心のビスキュイの方はと言うと…
材料は砂糖、小麦粉、卵、転化糖、ベーキングパウダー、香料。
* こちら☆の動画では、訪問時には「見せられません」と言われた工房の中が紹介されています♪
透明な袋に入れて簡単にシールされているだけなのに、日持ちは2カ月。
時間がたってもカリッとした表面と内側の柔らかさは変わらないのに驚きでした!
ベルガモットがフランス(ナンシー)に入ってきたのは1750年のことで、その使用は王族や貴族に限られていたそうな。
スタニスラス・レクチンスキーのシェフ・キュイジニエGilliers ;ジリエが
ベルガモット風味のSucre d’orge ;シュクル・ドルジュを作っていたことから見ても
「ルイ16世やマリー・アントワネットがベルガモット風味のビスキュイを食べていた」というのは
ちっとも不思議ではありませんね♪
そして、当初の目的であったマスパンの方は・・・
ビスキュイの別名と言う訳ではなく、別に販売されていました(ここのはマカロン系)。
両方とも古くからあるスペシャリテだったのですね。
* これはmixiで(2007,04,01)upしたものに加筆したものです。
パッケージが素敵ですね。食べた後、取っておきたくなります。
何で香り付けしてるか秘密なんですね。ベルガモットかぁ。
マスパンは絞り出したままの形が素朴で良いですね。