Pentecôteのお菓子 「Le Colombier 」 その2
2012年 05月 26日
「Gâteau de la Paix ;ガトー・ドゥ・ラ・ペ」や
Arbois ;アルボワにある1900年創業の老舗パティスリーHirsinger ;イルサンジェでは
「Le Porte-Bonheur ;ポルト・ボヌール」と言う名前で販売されています。
このお菓子の存在を知ったのは偶然から…。
2003年6月ショコラの取材でお店へ伺った際、何気なく写した写真(↑ コレ)の中にこのお菓子はありました。
しかもそれに気付いたのはだいぶ後になってからのこと。
以前の写真を見直している時に、お菓子の上に飾られたリボン状の紙に
と書かれていたのです。
とっても気になったので、メゾン・イルサンジェの4代目 Edouard;エドワールに尋ねたところ、
「聖霊降臨祭のお菓子コロンビエと同じもの」だと教えてくれたのでした。
この時期限定販売のお菓子だっただけに、買わなかったことを激しく後悔したのは言うまでもありません。
その後、聖霊降臨祭の時期にアルボワへ行く機会は無く…。
2008年11月、ようやくお店を訪れる機会があり、どうしても食べたくて季節外れではありましたがわがままを言って作って頂きました。
作り方はこんな感じ…。
メレンゲにTPT(アーモンドパウダー+粉砂糖)と溶かしバターを加えて作った生地をセルクルに入れて焼く。
型を外して冷めたら側面に切り込みを入れてプラスチックのコロンブを差し込む。
全体にナパージュをかけ、側面にグリエしたアーモンドダイスをまぶす。
紙をのせ、バタークリームで「Porte-Bonheur」と書きいれる。
この紙を更によく見ると左右にメダルが印刷されており、パリのパレ・ロワイヤルで行われたエキスポで
1902年と1903年にこのお菓子でメダルを獲得していることが分かります。
マルセイユのコロンビエは「1906年のコンクールで考案された」と言うことでしたが
それよりも早い時期にこのお菓子は作られていたのですね。
エドワールのお父さんで3代目のClaude ;クロードにこのお菓子のことを聞いてみると
「このお菓子は20世紀初頭に行われたコンクールで考案されたもので、Pentecôte ;パントコートの他に
Fête des Mères(母の日)にも作られることがあった」とのことでした。
そして、なぜイルサンジェでは「Porte-Bonheur ;ポルト・ボヌール」という名前で販売されているのか?
というと「コロンビエの名前は組合に入っているお店だけしか使えなかったから」と言うことも分かりました。
「Gâteau de la Paix ;ガトー・ドゥ・ラ・ペ」の別名もありますが、恐らく組合に入っていないお店が
「コロンビエ以外の名前」と言うことで命名したものなのでしょう。
モダンで新しいお菓子やショコラを作りつつ、100年以上前のお菓子を今でも丁寧に作り続けているイルサンジェ。
とても貴重なお店です!
ここのお店のショコラも食べてみたいですね。