La fête de la Saint-Jean(洗礼者ヨハネの祝日)と夏至、そして「Le Fra ;フラ」
2012年 06月 21日
イエス誕生の半年前に産まれ、ヨルダン川でイエスに洗礼を施す洗礼者ヨハネは特別な存在。
彼の母エリザベトは従姉妹の聖母マリア同様、大天使ガブリエルによって受胎告知を受けました。
洗礼者ヨハネの聖名祝日は6月24日で、誕生したとされる日です。
そもそも聖名祝日は殉教者の命日を記念することに由来している為、一般的には亡くなった日に祝われますが、キリストや聖母マリア同様に洗礼者ヨハネもまた誕生した日に祝われています。
このことからも彼が重要な立場であることが分かりますね。
一方、夏至は一年で昼間の時間が一番長い日(北半球)で、6月21日頃(今年は6月21日)。
夏至には多くの場合、盛大に祝火が燃やされました。
太陽の恩恵を大きく受けている人類が昼間の一番長い日を祝うのはごく自然なことだったのでしょう。
火を燃やして太陽に力を与え、その火で生贄を焼いて捧げたり、また火の燃え方によって収穫を占ったり
火や燃え残りによって浄化の意味をもたせたり健康や幸福を祈ったり…と、夏至を祝うことは古代から時代や地域に応じて様々な儀式・習俗が行われてきたのです。
夏至に火を燃やすことは2月に行われるBrandon ;ブランドン(松明祭)等と共に火祭りの年間サイクルの1つで、これはキリスト教よりもずっと以前から世界的に存在していた、太古から続く太陽信仰の名残であり
異教的起源をもつ祝祭でした。
初期のキリスト教会では布教の為、異教の祝祭を禁止、或いはキリスト教的な修正を加えたり
キリスト教の祝祭に置き換えていきました。
キリストの誕生日とされる12月25日は異教によって祝われていた冬至の祝祭を置き換えたものですが
これと同様にキリスト教会は6世紀に「Feux de la Saint Jean(聖ヨハネの火)」を制定し
夏至の日に行われていた祝祭を洗礼者ヨハネの祝日の日である6月24日に取り込んだのでした。
さて「Le Fra ;フラ」と言うのは…
「Tarte au Fra ;タルト・オ・フラ」とも呼ばれています。
ブルゴーニュでポピュラーな「flans au fromage ;フラン・オ・フロマージュ」の1つ。
こればブルゴーニュ地方圏Yonne ;ヨンヌ県の南西部に位置する「la Puisaye ;ピュイゼ」と呼ばれる地域のスペシャリテで、Saint-Sauveur-en-Puisaye ;サン・ソヴール・アン・ピュイゼではかつて
Fête de la Saint-Jean(6/24)の日のみに作られ「fra de la Saint-Jean ;フラ・ドゥ・ラ・サン・
今日では1年中作られており、焼き立ての温かいものにサラダを添えてアントレとして食べられています。
* Moutiers-en-Puisaye;ムーティエ・アン・ピュイゼではFête de la Saint-Pierre(6/29)に作られていた。
* 女性作家Colette ;コレット(Sidonie-Gabrielle Colette ;1873-1954)はこの町の生まれで
町には彼女の博物館がある。
ブルゴーニュでこのようなタルトは15世紀から存在すると言われていますが
具体的にこのFra ;フラがいつ頃から作られるようになったのか、名前の由来等々は分からず…。
2006年Saint-Sauveur に近いSaint-Fargeau ;サン・ファルジョーを車で通る機会がありました。
パン屋でも売っていると聞いていたので寄ってみたのですが、その店では週末にしか作らないそうで
残念ながら買うことは出来ず・・・(涙)。
基本はパータブリゼに、水けをきったフロマージュ・ブラン、クレーム・エペッス、卵、小麦粉、そして塩・胡椒・ナツメグを加えて作ったアパレイユを詰めて焼いたもので、le Cion ;シオン同様、ガルニチュールは入らないシンプルなタルトですが、このお店ではグリュイエールチーズを少しとシブレットも加えられていました。
この辺りのレストランにはFra ;フラをメニューに入れているところもありますので、
この辺りを訪れる機会がおありでしたらお試しくださいね♪
シオンの塩味バージョンですかぁ。
この辺りは、タルト・フロマージュが名を変え、沢山あるんですね。
興味深く、食べてみたいですねぇ。