Le Coq des Rameaux ; コック・デ・ラモー
2013年 03月 31日
ディマンシュ・デ・ラモー(枝の主日)のお菓子をご紹介します。
* 枝の主日についてはコチラ☆をご参照ください。
以前、枝の主日の際に枝に下げるものとしてご紹介したメレンゲと同類のお菓子。
「Coq des Rameaux ;コック・デ・ラモー(枝の主日の雄鶏)」と言う名前の通り、雄鶏の形をしています。
ノンパレイユ(飾り用の極小ドラジェ、日本ではノンパレルの名前で販売されているようです)で飾り付けしたお菓子で
くちばしの部分に黄楊製(プラスチック製も有)の笛を付けるところもあります。
これはかつてリムーザン地方で見られたお菓子で、残念ながら今ではあまり見かけることが出来ません。
1900年頃Limoges ;リモージュのパティスリーでは枝の主日にこれを販売する為、
四旬節の間せっせとこれを作っていたのだとか。
50年代には殆ど姿を消し、80年代にはLimoges;リモージュとBellac ;ベラックでしか見られなくなったと言います。
枝の主日のミサに子供たちはこのコックを手に、或いは枝に下げて持って行き
「ミサの間おとなしくしていたご褒美にこれを食べさせてもらえる」のでした。
この地方で育った年配の人々にとって、このお菓子は子供の頃の楽しい思い出の1つとなっているそうな…^^
でも、いったいどうして雄鶏の形をしているのでしょう???
かつて民間伝承では、日の出に鳴いて朝を知らせる雄鶏は太陽を表す動物とされ、
自然が眠っているかのような暗い冬に対する太陽、光の勝利を連想させ、さらには雄々しさ・男らしさを象徴する
意味合いを持っていました。
このいわば異教の雄鶏を、カトリック教会は枝の主日の際、キリストの受難に出てくる
「le coq de saint Pierre ;コック・ドゥ・サン・ピエール(聖ペトロの雄鶏)」
(イエスがペトロに「雄鶏が鳴く前に、あなたは三度私を否定するだろう」と言った)へと
巧みに置き換えたのでした。
そう、取り付けられた笛は雄鶏の鳴き声を意味していたのですね。。
元々このお菓子はCreuse ;クリューズ県特有のものであったということで、現在ではクリューズ県のGuéret ;ゲレ
やAhun ;アアン等で作られています。
写真を提供して下さったゲレのお菓子屋さん「Villechalane-Sionneau 」によると販売期間は2週間。
「Le Diable sucré gâteau,cannibalisme,mort et fécondité ;Christine Armengaud著」という本に
このコックの写真が3種類掲載されていますが、そのうちの1つはこのお店のもの^^
こちら☆でも別のコックの写真が見られます。
コック・デ・ラモー、可愛いお菓子ですね。
今では、余り見る事ができないとは、残念ですね。
こんな貴重なお菓子に出会えるとは、羨ましいです!
他の人には悪いですが、roiboitさんが被害に遭わなくて安心致しました。