気になるBiscuit de Reims ;ビスキュイ・ドゥ・ランスの色
2013年 05月 25日
それはなんといってもそのピンクに着色された「色」。
「Biscuit rose de Reims ;ビスキュイ・ローズ・ドゥ・ランス」という名前の通り、バラ(ピンク)色に染められているわけですが、元々はBiscuit de Reims ;ビスキュイ・ドゥ・ランスと呼ばれ、色付けされておらず白い色をしていました。
ではいつから、そして何故ピンク色に着色するようになったのでしょう?
前述の「l’inventaire du patrimoine culinaire de la France ;Champagne-Ardenne(2000年)」
の中では『奇妙なことに、19世紀末までビスキュイの色について言及する者は誰も居なかった。
しかしベルエポック(1900年代初頭)にépicerie de luxe Olidaはそのカタログの中で、他のビスキュイ・セック(ブードワール・シャンパーニュ・ペルレ・グラッセ等)と、2色(白と赤、赤は明らかにより高い)で販売されているビスキュイ・ドゥ・ランスを非常にはっきりと区別している。』
とあります。
19-20世紀初めのルセットが掲載されている本20冊を見ると、全て「Biscuit de Reims ;ビスキュイ・ドゥ・ランス」。
「Biscuit rose de Reims ;ビスキュイ・ローズ・ドゥ・ランス」の名前は見当たらず、ピンクに着色するルセットは
1つも見つかりませんでした。
私が「Biscuit rose de Reims ;ビスキュイ・ローズ・ドゥ・ランス」の名前が見つけられたのは2冊だけ。
「Album Illustré de L’Almanache Didot-Bottin troisième volume (1878)」P-58-59
ここにはランスのビスキュイ製造者3つが名前を連ねており、そのうちのBrisset-Fossierだけが
「Biscuits blancs et Roses vanillés 」と明記しています。
* これと同様に「Massepains blancs et Roses vanillés」の記述も有り、
マスパンにもピンク色のものがあったことが分かる。
* 他2つのメーカーは「Biscuits」の表記があるのみで、ピンク色があるのか無いのかは不明。
もう1冊は「Rome (avril 1885): Les Vosges (août-septembre 1885)」P-192で
「biscuits roses de la maison Fossier à Reims …」と書かれています。
これだけを見るとFossierだけがピンク色のビスキュイを作っているような印象もありますが、
実際のところは残念ながら分からず・・・。
さて、ビスキュイの着色に使われるコチニール色素はいつからヨーロッパで使われるようになったのでしょう?
大航海時代に新大陸を発見したスペイン人は、古くから中南米で利用されていたこの色素を持ち帰り、
ヨーロッパ各国へ販売しました。16世紀のことです。
ビスキュイ・ドゥ・ランスが作られ始めた時代には既にコチニールが存在していたことになりますね。
色に関する記述は全く見つからないので、どうしてピンク色にしようと思ったのかは、残念ながら想像してみる以外
なさそうです。
このビスキュイには液体に浸しても容易に崩れず、屑がグラス等の底に落ちないという特徴があり、
ワイン、シャンパーニュ、リキュール等のアルコール飲料や、コーヒーや紅茶と言った温かい飲みものに浸して
食べられていました。
泡立つシャンパーニュが発明され、一般に普及するまでは、甘口ワインの他、当時地元で一般的だった
赤ワインと一緒に。
*ドン・ペリニヨンが発泡性のワインを始めて作ったのは1680年頃と言われる。
ただし、これ以前からすでにロンドンでは発泡性ワインが飲まれていた。
色の付いていないビスキュイを赤ワインに浸すと赤くなるので、シャンパーニュに浸すようになってからも
赤ワインに浸した時のようなピンク色に染めたらオシャレ~と想像したのかも?という仮説を立て、
試しに赤ワインに浸してみる為、赤く色付けない白いビスキュイを制作してみました^^
↑ 実際に赤ワインに浸してみましたが、綺麗なピンクにはならないみたい・・・
浸して微妙な色になるからこそ、最初からピンク色にしてみたらキレイ?と思ったのかも・・・?
(う~ん、ちょっと無理があるかしら~^^;)
いずれにしてもビスキュイ・ドゥ・ランスはおしゃれなシーンが似合います♪
※※※
roiboitさんの白いビスキュイ、美味しそうに出来上がってますね。
私はエスプレッソに浸したいです。
実際にワインに浸してみたりと楽しい実験ですね。
ビスキュイ・ローズ・ドゥ・ランス、食べてみたくなりました!
残念ながらその当時へ覗きに行くことは出来ませんから、実際に作ってみたり実証してみるのはより具体的に推理出来て面白いです。