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Rousquille ;ルスキーユというお菓子  その2

その1に引き続き、今回はピレネー山脈の西側(ベアルン地方) で作られるルスキーユについて…。
こちらでも「Rousquille」「Rosquille」の名前が見られ、ベアルン語の「Rosquilhe」というスペルも見られます。
* ベアルン語;オック語の1方言であるガスコーニュ語の中に含まれる方言。

フランス各地の食に関するスペシャリテを網羅する「L’inventaire du patrimine culinare de la France;1997」のAquitaine地方版では次のように書かれています。
『「Dictionnaire du béarnais et du gascon modernes 」(Simin Palay著 ;初版1932-1934)では「Rosquille」はベアルン語の「Rosque」に由来し、これはバイヨンヌでユダヤの祭礼パン、pain à l’anis;
パン・ア・ラニ(ス)を意味する。』

検索して出てくる一番古い本は1675年に出版された「Tesoro de las dos lenguas espanola y francesa
と言う辞書で、スペイン語の「Rosquilla」を「大きな指輪状のねじった丸いcraquelin ;クラックラン、小菓子」と
訳しています。
クラックランは生地を一度茹でてから焼くéchaudé ;エショデと呼ばれる固いお菓子ですので、
現在のルスキーユに近いものだと想像出来ます。

ただ、いずれにしてもフランスにおけるルスキーユの起源ははっきりとしていません。
「ユダヤの祭礼パン」だったと仮定してみましょう。
レコンキスタ(国土回復運動)が終結した1492年以降、スペイン(後にポルトガル)から追放されたユダヤ人たちが
バイヨンヌへ集まってきました。スペインで作られていた「Rosquilla」はユダヤ人と共にこの頃この地域に多く見られるようなり、広まっていったのかもしれません。

この地方で現在作られているのは、ベアルン地方の中心都市で非常に古い歴史を持つOloron-Sainte-Marie;
オロロン・サント・マリー


これが作られているのは、以前「le Russe;リュス」というお菓子について紹介した際(ココ)にご紹介したお店
Pâtisserie Artigarrède ;パティスリー・アルティガレッド」のみです。
大きなブレッツェル形と棒状の小さいものがあります。
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↑ 棒状のルスキーユ


2009年1月にこの店を取材させて頂いた際、
3代目のJean-Paul Bassignana;ジャン・ポール・バシニャナ氏のお話では
「かつては家庭で作られていたがだんだん作る人が居なくなり、今はここだけで作られている」とのことでした。
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↑ ブレッツェル形の大きなルスキーユ



<作り方はこんな感じ…>
小麦粉、卵、バター、塩、アニスの香りを煮出したもの、オレンジ花水で生地を作る。
これを寝かせてから棒状に伸ばしてブレッツェル形に成形しオーブンで焼成する。
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↑ 焼成の際は途中で裏返してさらにしっかりと焼く

レモンの皮で香り付けしたシロップに浸し、取り出してから刷毛をこすりつけるようにして白濁させ、乾燥させる。
(乾燥すると白さがはっきりしてくる)
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↑ 右側の鍋に入ったシロップに浸し、取り出してから刷毛でこする。


お店では3日間乾かしてから販売しているそうです。
(その場で出来たてと乾燥させたものと食べ比べさせて頂きましたが、私には出来たてが美味しく感じました)

味は最初の数日間の方がより美味しいとのこと。
ただ1カ月は日持ちするので、羊飼いが移牧に出掛ける際に持って行き、ポケットに入れておいて食べたい時に食べる携帯食でもあったとか。

この菓子がGäteau d’Oloron(オロロンのお菓子)として紹介された文献で、私が見つけられた最も古いものは
Grammaire béarnaise suivie d’un vocabulaire béarnais-français (Jean-Désiré Lespy著;1880)」。
Rousquilhe」の名前で出てきます。

また、その10年後に出版された「Bulletin de la Société des Sociétés,lettres et arts de Pau 1889-1890 IIme Série-Tome 19ème」では
Rosquillesは今日でもオロロンの伝統菓子として知られている。ロスキーユ入りの小さなバスケットの発送は1727年に遡り、100年近い歴史を裏付けている。』
とあり、18世紀初めにはおそらくオロロンのスペシャリテとなっていたことが伺えます。

さらに「Collection linguistique No46 ;1938」の中には
『ベアルン語 rousquilhe, オロロンに小さな製造所が1つある』
との記述があり、製造販売する所は1938年の時点で既に1軒だけになっていることが分かります。


ルシヨン地方のルスキーユとは異なり、昔からの姿をそのまま伝えている(と思われる)オロロンのルスキーユ。
本来はドーナッツ形だったであろうその形が、いつ現在の形になったのかは分からないままですが
これからもずっと受け継がれていって欲しいと思います。



※※※



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by Ethno-PATISSERIE | 2014-06-22 22:27 | ②Aquitaine | Trackback | Comments(2)
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Commented by M at 2014-06-23 08:24 x
le Russe;リュスの「Pâtisserie Artigarrède ;パティスリー・アルティガレッド」で、プレッツェル形のルスキーユも作られているのですね。
プレッツェル形と言えばドイツやアルザスの方ばかりと思っていたのにベアルン地方でも作られているのですね。
オレンジ花水が入った生地は、どんな感じか?食べてみたいです。
ホント、そのままに受け継がれていて欲しいですね。
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2014-06-23 10:07
Mさん 実際に目にするまでどんなものか全く知らなかったので、実物を見た時はちょっとビックリしました^^しかもここへ行く前ドイツやアルザスで新年に食べる大きなブレッツェルを食べていたので不思議な感じがしました。
とても素朴で、固く焼いたシュー生地みたいに感じましたよ♪
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