「東京カド」のマドレーヌ
2014年 09月 18日
翌年には労働手帳を取得して、当時パリの2区にあったパティスリー「Cadot ;カド」で働きながら職人としての技術を習得。フランス滞在中は、沢山の菓子やショコラを買ってきては写真を撮影していたのだそう。
(その後、膨大な写真は頼まれて貸したりしているうちにどこへあるのか分からなくなってしまったとか。
そして帰国後、1960年に「東京カド」を設立しました。
創業者と、以前私の質問に答えて下さった息子さんの夏生さんはとても残念なことにもういませんが、
壮一郎氏の奥様である高田ハルさんはお元気でご活躍とのこと。
それがまたとってもチャーミングで素敵なマダム!
お店には創業当時から作り続けられているお菓子がいくつも並べられていましたよ♪
クレーム・シャンティイにバターの風味とコクを加えたものであるかのごとく軽やか。
既にお腹が一杯で食べきれないと思っていたのに、おしゃべりしながらいつのまにか完食・・・^^ ;
創業当時から作られているものの1つが『マドレーヌ』。
「東京カド」は日本で貝殻形の型で焼いたマドレーヌを販売した最初のお店と言われているのです。
それまでは日本では型が無くて菊型しか作られていなかったのですが、
「もしかして、その当時の型を使っているのかも?」と思わずワクワクしてしまいましたが、
当時からフランス帰りの人々を中心にかなりの人気があって沢山焼いていた為、早々に日本で同じ型を作って貰ったりもしてたそうで、そのようなことは無いと言われました。
が、なんと!今でも当時の型を使って焼かれているものもあるそうで、パン・ド・ジェーヌがそれだとのこと。(つまり50年以上も使い続けられているのですね!)
ショーケースの中でも特に目を引くのが可愛らしいコブタさん「コショネ」^^
マドレーヌ2個をクリームではさみ、マジパンで包み仔豚の形に成形してチョコ掛けしたものです。
これはロスになるマドレーヌを再利用するために誕生したものだそう。
職人気質の壮一郎氏は、色や形の悪いマドレーヌは捨ててしまっていたそうですが、お店の職人さんがそれを何とか活きかえらせたいと考案したのでした。
マドレーヌで出来ていると分かると、なんだかいっそう愛着が湧いて可愛くみえたりして…^^♪
さて、ここで販売されているマドレーヌ、せっかくフランスと同じように貝殻型で焼かれていると言うのに、
特有の「でべそ」はありませんでした。
う~ん、「マドレーヌ好き」としては「でべそ」の無いマドレーヌは「本物のマドレーヌ」とは言いかねる…。
気になって仕方なかったので、思い切って図々しくも尋ねてしまいました^^
ハルさん曰く『「でべそ」があるとご贈答用に箱詰めする際、綺麗に並べることが出来なかったので、
あえて「でべそ」がないものを作るようになった』とのこと。
「日本のお客様はそんなことを気にするのね~」と残念がっていると、
『「でべそ」のあるマドレーヌも定期的に注文を受けていて、その時なら販売も出来ますよ』という嬉しい
(「でべそ」は小さめですが、創業当時と同じなのかな(?)と思うとやはり感慨深い)。
当時の面影をそのまま残していると思われるお店のしつらえと、地元の常連客さんたちが醸し出す
アントルメのキルシュは、バタークリームで、懐かしさがあります。
マドレーヌ2個でできたコショネも可愛らしく、美味しそうです。
ここのマドレーヌ、食べてみたいです。
『でべそ』付きのマドレーヌも手に入れることが出来て良かったですね!
こんなフランス菓子屋さん、いつまでも続いて欲しいです!