「Paris-Brest ;パリ・ブレスト」の誕生したお店へ…
2015年 07月 09日
パリ・ブレストは
『シュー生地を王冠型に絞ってアーモンド・スライスを振って焼き、間にプラリネ風味のクレーム・ムース
ですが、これもやっぱり立派な地方菓子、イル・ド・フランスのスペシャリテと言えます。
クラシックなフランス菓子がRevisité ;ルヴィジテ(現代風に再構築)されるようになり、パリ・ブレストも様々なスタイルのものが見られるようになりました。
でもやっぱり気になりますよね~、その原点が…^^
この菓子が誕生したのはパリの西方、ヴェルサイユを県庁所在地とするYvelines ;イヴリーヌ県の町
Maisons-Laffitte ;メゾン・ラフィット。
建築家フランソワ・マンサールにより建てられた美しい城や、競馬場でも有名な町です。
パリ・ブレストの考案者の店は今でも当時と同じ場所・建物の中で、同じ家族によって受け継がれています。
お店の名前(当時)は「Pâtisserie Durand ;パティスリー・デュラン」。
Louis Durand ;ルイ・デュラン はその妻Marie ;マリーと共に、1907年創業しました。
デュラン氏は1891年に始まった自転車レース「Paris-Brest-Paris ;パリ・ブレスト・パリ
(又はParis-Brest et retour)」にちなみ、自転車の車輪の形をイメージした菓子を考案しました。
考案した年は1910年と書かれていることもありますが、正確には1909年の年末。
・レヴェック氏によると、おそらくクリスマス用に考案されたものだろうとのこと。
そのきっかけとなったのは
「自宅の近くにあるCroix-de-Noaillesがコースに入っており、レースを見たことから」
・ちなみに1909年以前に開催されたのは1891年と1901年の2回のみ(その後は1911年)。
「パリ・ブレスト・パリ」の創設者で『Petit Journal』誌のPierre Giffard氏がメゾン・ラフィットに住んでおり、パティスリー・デュランのお客でもあった為、お菓子を作るよう勧めた(或いは頼んだ)…」
等々いくつかのお話があるようですが、今となってははっきりと分かりません。
(名前からしてレースがきっかけとなったことは確かなのでしょうが…。)
さて、ここを訪ねたのは昨年10月のこと。
現在のオーナーで初代のひ孫にあたるStéphane Lévêque ;ステファン・レヴェック氏に
メールで取材のお願いをしていましたが、なぜか届いておらずRV無しでの訪問でした。
しかし運よくレヴェック氏が事務所にいて、超多忙な中「5分だけ」と言いながらも、
店横にある入口から上の階にある事務所に通され、きちんと座ってお話をお聞きすることが出来ました。
店のある建物自体は当時のまま、お店の方は当初ショーケースに冷蔵施設がなかったこともあり、
何度か改装をしているそうです。
現在は彼の妻Dorothy ;ドロシーがシェフ・パティシエとしてラボを仕切っています。
彼女は1993年に店で販売の仕事を始めたそうですが、それだけではつまらないと思うようになり
ステファンの叔父であるMichelとPhilippeに教わりながらパティシエの仕事もするようになったのだそう。
レヴェック氏も最初はパティシエで店の管理も行っていましたが、現在ラボでの仕事は彼女に任せ、
自分は経営者としての仕事と政治活動を行っているとか。
この店のパリ・ブレストの特徴は、まず1人用サイズがよく見かけるドーナッツ形では無く、穴の無い楕円形であること。
これは自転車のサドルの形を模したものです。
アントルメの大きなパリ・ブレストはよく見かけるものと違い、それほど厚みはありません。
わざとシュー生地を平らにして焼いてあります。
・厚みを出すため中にドーナッツ形に焼いたシューを入れることもあるが、それは無し。
クリームはあまりバターの量は多くなくて、自家製のプラリネが香り高く、コクのあるクレーム・パティシ
厚みは無くても平たい分、クリームはたっぷり入りますがとても食べやすいのでした。
見た目は素朴ですが、今まで食べた中で一番好きな味かな~♪
・ルセットは昔通りだが、クリームに入れるバターの量は減らしている。
ショーケースにはパリ・ブレストの他にも、
シュー生地を使ったお菓子が一杯並んでいて、それも店の特徴の1つだとのお話でした。
訪問した日はいつもより人数が少なくて忙しかった 為、残念ながらラボの見学はできませんでした。
まだ不明な点も多いパリ・ブレストについて、より詳細な歴史的資料等も拝見したいものです。
いつかまたリベンジ取材したい!
Pâtisserie Durand et Fils
9,avenue de Longueil
78600 Maisons-Laffitte
パリ・ブレストは、パリが発祥だと思っていましたが、
イヴリーヌ県の町だったのですね。
パリ・ブレストが誕生したパティスリーに行かれたのですね。
美味しそうです!ショーケースには、シュー菓子がたくさん!
どれも頂きたいです!
工房の方は、見学できなったのですね。残念だけど、また行けますね!
今でも同じ場所で、同じファミリーに受け継がれているところがいいですよね。同世代女性の活躍は本当に嬉しいです。