カテゴリ:feve工房( 18 )

フェーヴ「LSCC」 その①  ― フェーヴ裏にある文字の意味 ―

私はお菓子屋さん等、お店オリジナルのフェーヴの他に、工房や作家さんが作ったもの、
そして古いフェーヴ、製造をやめてしまった古いメーカーのもの等々、多岐にわたって集めており、
それぞれメーカーごとに分類して整理しています。

歴史的なことが気になる性質なので、工房についても様々な資料を調べたり、それでも分からない場合は
知り合いのコレクターさん達の知識をお借りして、いつ頃・誰が・どのようなフェーヴを製造していたのか?を調べます。
その中にはどこのメーカー、工房で作られたのかがはっきりしないものもあり、
裏に「LSCC」の文字が入ったフェーヴもその意味が分からないものの1つでした。
b0189215_16595321.jpg


以前パリのフェーヴサロンで、フェーヴの著作も多く長年研究を続けているMonique Joannèsさんにお会いした時、
その話になったことがありました。
別の工房があるメーカーに頼まれてフェーヴ作りに協力することがあったことを認識したのはこの時だったと思います。

それから数年過ぎた昨年の夏、彼女が「Collectionneur & Chineur(コチラ↓)」というコレクター向け冊子に
b0189215_15135817.jpg

このフェーヴについて調べたレポートが掲載されたことを教えて頂き、丁寧に分類されたフェーヴと共に届きました。
モニクさんから早々にブログ掲載許可も頂いていたのですが、多忙の為に時間が取れず今頃のupに…^^;

このフェーヴの存在を知らないとあまり興味の無い話だとは思いますが、
フランスのコレクターの間では疑問に思っていた人も結構居て、すっきりした人も多いはず。
もしかしたらあなたがフランスで何気なく買ったそのフェーヴ、裏にこの文字が入っているかも?


結論から言うと、このフェーヴを製造したのはChristiane Chapon;クリスチアヌ・シャポンという陶芸・彫刻家。
彼女の祖父Louis Soubrenie氏も職人。リモージュ焼きの絵付け師であり、デザイナーでした。

                  そう、『「LSCC」は彼ら2人のイニシャルだった』のです!

彼女が祖父を尊敬していたことが伺われて、今まで単なるアルファベット4文字だったものが
一気に心温まる文字に見えてくるから不思議~♪

このサインが入っていて、彼女の作品であることがはっきりしているものが7種類あります。
b0189215_191958.jpg

このうち「セミ」と「サボ(木靴)」は以前からあったモデルを引き継いだもので
もっと価値を与えたいと思い、台を取り付けた」のだといいます。
これら7種類は初期に制作されたものだそうで、型に泥漿(液体の土)を流し込む方法(=鋳込み成形)を用いて作られ、
1つ1つ手作業で型抜きされた後リモージュ近郊の窯で焼かれました。
この方法で制作されたものは裏側が凹むという分かりやすい特徴があります。
また、型入れ・型抜きの工程で小さな泡が入ったり欠けたりする欠陥が出来きやすいのだとか。


この7種類の他に…

Ange(天使)
クリスチアヌが「音楽好きの天使」と呼んでいる、天使のレリーフが入ったもの。
これは1994年ブーランジュリー「Max Poîlane ;マックス・ポワラーヌ」と
パティスリー「La Vieille France ;ラ・ヴィエイユ・フランス」から同時に注文されたもの。
これには裏に「LSCC」のスタンプがあり、さらに多くの場合黒字で「Max Poîlane」か「VF」の文字が
入れられています。
b0189215_17223226.jpg
             ↑ 釉薬をかけたもの(マックス・ポワラーヌ)と素焼き(ラ・ヴィエイユ・フランス)


Lune ;リュヌ
(リュヌというと一般には月のことですが、ここでは「大きな丸い顔」のこと)
クリスチアヌはジョアネス夫妻に「このフェーヴはぺちゃんこな鼻をした、ちょっとおどけた顔にしたかった」のだ
と打ち明けられたそうな・・・^^ でも使われなかった為、数の少ないモデル。
b0189215_1765540.jpg



彼女は自分の作ったフェーヴに彩色を施す試みも行っていますが、長くつづことはありませんでした。
緑や金で線書きの入ったものを時折見つけられるのみとか。
b0189215_15512451.jpg
↑ これはモニクさんから頂いたフェーヴで、素焼きに線書きの入ったもの。2度目の焼成は行われていないので濡れると溶けてしまう。



そのに続く...


L'autorisation de Monique et François Joannès, ainsi que de l'éditeur de Collectionneur Chineur.
この内容はCollectionneur Chineur紙127号に掲載されたモニック、フランソワ・ジョアネス夫妻による記事を元にし、同夫妻、並びに出版社であるコレクショヌール・シヌール社の許可を得て書かれています。無断転載はご遠慮ください。



                                  ※※※



にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2013-02-22 19:25 | fève工房 | Trackback | Comments(4)

フェーヴメーカー「Pierre Jeudy ;ピエール・ジュディ」

Pierre Jeudy ;ピエール・ジュディ」氏は画家・グラフィックデザイナー。
*こちらのサイトで紹介されています。
1988-1996年までフェーヴを製造していました。

型を用いず成形から彩色等、工程すべてが手作業で行われ、裏にはサインとシリアルナンバーが入っています。
彼の作品にはポストカードも含まれていますが、自作フェーヴを紹介するものも枚数限定で作られています。
b0189215_1033087.jpg
                  ↑ 写真はコレクター友達 Jacqueline Goepfertさん提供

Vania Hrdy ;ヴァニア・ウルディ」のフェーヴ同様、
コレクターから「ガレットに入れられたことが無い」と指摘されましたが
「一部の人間が勝手な基準でフェーヴであるか否かを判断しているのはおかしい。ほんのごく一部がパティシエに
使われただけで、他の多くはそのままコレクターに販売されている(ものもある)」と反論。

そのことが原因かは分かりませんが、その後も彼のフェーヴはコレクターに好まれなかったらしく、
作られなくなりました。

その独特の作風と色使いで、とても存在感ある美しいフェーヴです。


                                 ※※※



にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-08-07 10:47 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フェーヴメーカー「Michel Hannecart ;ミッシェル・アヌカール」

3年程前にオークションサイトでたまたま見つけたフェーヴです。

Michel Hannecart ;ミッシェル・アヌカール」氏は画家・彫刻家で、陶器やガラス等、様々な素材を使って作品を作るアーティスト。フェーヴのみを作っている工房ではありません。
b0189215_1653617.jpg

フェーヴを作ったきっかけや製作年度は不明で、恐らく地元(Nièvre県, Cher県)のために数モデルのみ
(その時私が見たのは7種類)作られたものと思われます。

いずれのフェーヴも少し厚みのあるコイン形でレリーフの模様が入っており、淡い色で彩色してあります。
裏には丸の中にHの文字が入ったスタンプがしっかりと押されています。
b0189215_16682.jpg



                                   ※※※


にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-08-05 16:09 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フェーヴメーカー「Vania Hrdy ;ヴァニア・ウルディ」(1988 ?-1999)

Vania Hrdy ;ヴァニア・ウルディ」は、現在製造していないメーカーです。
* Hrdy はちょっとカタカナにしづらい名字。発音を知りたい方はこちらでどうぞ

ネット情報によれば、
彼女はセラミストの父とデッサンの勉強をした母の間に生まれ、1988年に陶彫家となりました。
フェーヴ製造のきっかけとなったのは同じCher ;シェール県に工房を持ち、自らも制作していたことのある
Pierre Casenove ;ピエール・カズノヴ氏だったのだとか。
* Pierre Casenoveの工房についてはこちらで・・・。
b0189215_1545848.jpg

初期の作品は繊細で小さい単色のもので、白・黄・ピンク・青・緑・茶の6色が使われていました。
当時のAFF(Association des Fabophiles Français ;フランスのフェーヴコレクター協会)会長
Ghislain POLFER
氏が彼女にAFFの会報誌で紹介することを勧めたとか。
ところがこれらのフェーヴはコレクター向けで、お店で実際に使われることがなかったことから「これはフェーヴではない」
という批判が出て、POLFER氏がAFF用フェーヴとして少量制作することを提案。
そしてこれをあるパティスリーのガレットに入れることで晴れて「フェーヴ」となったのでした^^
* このようにコレクター向けのフェーヴを作る際には、一部をガレットに入れるよう配慮するのが一般的。
* 本来ガレット・デ・ロワに入れるという前提で作られたもの以外はフェーヴと呼ぶことはできません。
さらに厳密に言えば、ガレットに入れられなかったものはフェーヴとは言えないことになります。

b0189215_1552742.jpg
                         ↑ 裏にはマーク等はなく、ほぼ平ら

彼女のフェーヴはどれも非常に美しく、時と共にテーマに沿ったシリーズで作られるようになり非常に精緻な作りに
なっていきます。
そして各フェーヴの詳細なデッサン(デザイン画)があることも特徴と言えます。
このメーカーもあまり出回らないので、私が持っているのは真っ白でマットなものと艶のあるものの2つだけですが
いずれもデザインが独特で美しいフェーヴです。




                                  ※※※



にほんブログ村 スイーツブログへ


<追加>画像・・・
[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-07-22 15:58 | fève工房 | Trackback | Comments(4)

フェーヴメーカー「Pierre Casenove ;ピエール・カズノヴ」(1979 ?)

1年間だけフェーヴを作っていたメーカー。

Pierre Casenove ;ピエール・カズノヴ氏はサクランボでも有名な南仏の町Céret ;セレ出身のセラミストです。
この当時はBourges ;ブルジュの北東に位置するAchères ;アシェールに工房がありました。
同様の工房製フェーヴとしては先駆者の1人と言えます。
* 恐らく制作年が1979年の1年間で、1980年用(或いは数年販売された可能性有)のフェーヴ30種類程
製造されたと思われる。

b0189215_14573238.jpg
                 ↑ 左からArbre(木)、Théière(ティーポット)、Papillon(蝶)

当時はまだパン屋・菓子屋にこのようなフェーヴを受け入れる体制が整っておらず、
大きさがマチマチだったこともあって、残念ながらあまりよい反響は得られなかったようです。

その為いくつかのフェーヴは穴が開けられ、ボタン等に加工されています。
メーカーのマーク等は入っておらず、裏面が平らにならされていないところが特徴と言えるでしょう。
b0189215_1524899.jpg


現在はジュラ県の自然に囲まれた村に住み、デザイナー、アーティストとして活躍しています。


                                 ※※※



にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-07-19 15:03 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フェーヴメーカー「Chris ;クリス」

Chris ;クリス」も情報が少なく、オークションやサロンでもあまり出回らないメーカー。
b0189215_1601020.jpg


アルザス在住のコレクター友達によれば、フェーヴの売買をしていたある年配の女性が
パリ近郊に住んでいたあるセラミストの女性にフェーヴの制作を依頼したことから
Chris ;クリス」のフェーヴが誕生したと言います(コレクター友達はその年配女性から購入)。

お菓子屋さん等のプロ向けではなく、コレクターへ販売されていたこと、サロンでの販売が上手くいかなかったことや、
彼女がブルターニュへ引っ越したこと等が原因で、製造は10年ほどで終了しました。
* 制作年ははっきりしませんが、恐らく1980年代から1990年代初頭までの期間だと思われる。

はっきりとしたスタイルのある作風で、私が持っているフェーヴはどちらかと言うと小さめの印象。
「La Fève Royal」というフェーヴコレクタークラブ(現在は無い)の本には2ページにわたって
30種類程度のフェーヴが紹介されています。
b0189215_1603476.jpg


フェーヴの裏には必ずスタンプが押してある為、すぐに判別できます。



                                ※※※


にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-07-15 16:17 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フェーヴメーカー「Bonnet ;ボネ」( ? – 1995 ) kawaii

「Bonnet ;ボネ」は1990年代、注文したお店の名前を入れたオリジナルフェーヴを製造していたメーカーです。
ここに関してもあまり詳細は分かっていません。
b0189215_14551561.jpg

南仏在住のコレクター情報によれば、Bonnet氏はVar ;ヴァール 県Hyères ;イエールに工房を持つ陶芸家で
1995年に退職するまで製造していたとか。
根っからの職人でしたが、彼の製品を販売する為の仲介者がいたおかげでフェーヴも比較的多く出回りました。
単色、2色使いが多く、文字や絵は細い線で描かれていて独特のスタイルがあるフェーヴです。
 
b0189215_1551646.jpg
                        ↑ 瓶や王冠のフェーヴも特徴的

特に工房のあるHyèresのブーランジュリー、Maison Pastor ;パストールの為に作られたフェーヴは
比較的多く見られます。



                                ※※※


にほんブログ村 スイーツブログへ

[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-07-12 15:08 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フェーヴメーカー「Dautrey ;ドートレイ」(1988? – 2001?)

フェーヴをつくっていたメーカーには製造期間が短期間のところも多く、地元のパン屋・菓子屋の依頼でセラミストが
不定期に作ったケースや、お店ではなくコレクター向けにのみ販売していたところもあり、あまり知られていないケースも多くあります。

Dautrey ;ドートレイ」は既に製造を終了しているメーカーです。
ここに関しては先輩のコレクターに聞いても多くの情報は得られませんでした。
Langres ;ラングル(或いはその近郊)にあったメーカーで、Prime社によって販売されていた期間
(1990-1998年という説有)がある為、Prime製となっているものも見受けられます。

b0189215_21171999.jpg
↑ Les Rois de Pâques 1990/1992(裏にマーク無;6/12個)


b0189215_2121421.jpgb0189215_21211799.jpg
↑ Babar 1991(裏にレリーフ;年とクレジットBrunhoff 入)

b0189215_21271263.jpg
↑ Petits Papillons 2001(裏にDAUTREYのスタンプ有)


b0189215_21325542.jpg

b0189215_21335345.jpg
↑ サイズの大きいフェーヴ。3つのうち1個だけスタンプ有)



                                 ※※※
[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-07-10 21:49 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

Nex ;ネクスのフェーヴ 2012 (&マカロン形フェーヴ+おまけ) kawaii

ジャンヌ・ダルクの生まれた町Domrémy la Pucelle ;ドンレミ・ラ・ピュセルにあるフェーヴ工房Nex ;ネクス
2009年1月に工房の取材をさせて頂きましたが、独創的でオリジナリティー溢れる大好きなフェーヴ工房の1つです。
(昨年の震災後に安否を気遣うメールを頂いたようなのですが、新しいアドレスをお知らせしていなかった為に届かず、
心配をおかけしてしまいました><)

地元ロレーヌ地方にあるフェーヴ工房と言うことで、2008年にFressonさんがマカロン形フェーヴをオーダーしています。
b0189215_19333.jpg

↑ 可愛かったのでいくつか集めていたのですが、フレッソンさんがSDC東京で来日した際に見せると
「まだ全部揃っていないじゃん」と後からわざわざ送ってくれた、優しい気持ちのこもった大切な宝物



翌年の2009年にはフレッソンさんにNexを紹介して貰ったエーグル・ドゥースの寺井シェフが
同じタイプで少し違うマカロン形をオーダーしています。
(ただし、フェーヴとしてガレットに入れられるよりもキーホルダーとして販売された数の方が多いと思われます^^)
b0189215_19102781.jpg
               ↑ マカロンキーホルダー;左がフレッソン、右がエーグル・ドゥース


因みにNexのマカロン形フェーヴは他にも2種類持っています。
写真では分かりにくいかも知れませんがどれも厚みやクリームの出方などが違っていて個性的で、どれもカワイイ~^^
b0189215_2225199.jpg
                 ↑ Fresson,Pain de Sucre,Thiébaut,Aigre-Douce




毎年その年に作られたフェーヴのカタログを送って貰い、その中から好きなものをいくつか購入しているのですが
今年選んだのは次の2シリーズ・・・
b0189215_22305350.jpg

↑ 「Les Rondelles」シリーズ
b0189215_22371164.jpg

↑ 「C’est ça la France」シリーズ


因みに寺井シェフがオーダーしたクラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワのロゴと(ほぼ)同じフェーヴもNex製。
b0189215_22565478.jpg



そして・・・

サロンデュショコラで来日していたフィリップ・ベルナシヨンさんが鞄に付けていたマドレーヌ形のキーホルダー
b0189215_2313747.jpg


これは彼が寺井シェフから貰ったというもので、やっぱりNex製だったのでした。
(このキーホルダー、お店で販売しているのかなぁ ?)



                                  ※※※
[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2012-03-13 23:10 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

「Eric et Gilles」の新作フェーヴ(2012年用)♪

先週早々Lilleのフェーヴ制作ユニット「Eric et Gilles」から2012年用新作フェーヴの写真が到着~♪
今年もブログupの許可を貰ったので、ご紹介します。

じゃじゃーん!
b0189215_1531799.jpg


昨年のフェーヴにもあった、王冠を被った動物シリーズやお皿に乗ったお菓子シリーズ、そして昨年4個販売され、今回の4個でコンプリートするというマスク形フェーヴの他にも色々あります。

以下の3シリーズは前回同様、同じ形でも色が様々で迷う~~~。
b0189215_15183941.jpg


猫ちゃんが持っている新聞まで細かく繊細な彩色!
b0189215_15201113.jpg


これはクリスマスツリーに下げる飾りの形をしたフェーヴ…
b0189215_15221222.jpg



1番目の写真、左上のAFF(association fabophile français)用の「ガレットと王冠」のシリーズは
在庫が少ないそうなので予約済み。他のフェーヴも早く注文しなくっちゃ^^
[PR]
by Ethno-PATISSERIE | 2011-10-28 15:34 | fève工房 | Trackback | Comments(4)