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フェーヴ工房 Alain Guillard; アラン ギヤール

b0189215_23304123.jpg昨年11月に訪れた、今は活動していないフェーヴ工房。

場所はブルターニュ、 Morbihan ;モルビアン県の内陸側に
ある人口1000人にも満たない小さなコミューン。
Vannes ; ヴァンヌから北北西へ50km近い場所に位置して
いますが、当然ながら電車もバスも通っておらず…。
何とか交通費を抑えたいとヴァンヌからPloërmel ;
プロエルメルまでバスに乗り(バスならここまで1時間5分、
2ユーロ!)、ここから15kmはタクシーで行こうと計画。
あらかじめタクシーの電話番号を調べて行くまではぬかりなく順調だったつもりなのですが、実際に行ってみると
どこを目印にしてタクシーを呼んだらいいのか分からなかったり、電話してもすぐには来てもらえなかったり…。
果たして約束の時間に間に合うのかどうか、もうハラハラ☆ドキドキでした。

b0189215_22434220.jpg何とか無事到着すると、Alain Guillard ; アラン・ギヤールさん本人が
出迎えて下さいました。
最初に通された場所は、かつて作っていた陶器作品や地元の物産品を
販売していたお店。現在は使われていないのでかなり雑然とした感じ
でしたが、この脇に製陶工房が併設されていました。

彼は元々セラミストで実用品や装飾用の陶器の作品を制作販売していましたが、それまで無かったブルターニュをモチーフにしたフェーヴを作りたいと思い立ち、1993年11月、初めてフェーヴのシリーズを販売。
そのブルターニュに因んだフェーヴは地元のパン屋さんに人気があったと同時にフェーヴコレクターにも人気がありました。

アンティークカーの愛好家だったアランさん。
愛好者クラブから車の形やエンブレム等のフェーヴの注文も来るように
なったとか。
↑ この方がアランさん。最後まで写真を撮られるのを恥ずかしがっていました^^

彼のフェーヴの特徴は、縁の部分、柄や文字の線がレリーフ(浮き彫り)になったものが多く、いくつかのパーツから成る
パズルになっているものも多いこと。多色ではなく、限られた色を1-2色だけ使っていることも特徴的。
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2007年までは毎年製造していましたが、現在は他の仕事が忙しくなってしまった為、いつの完成でも構わないという ごく身近な人からの注文を受けるのみとなっています。

<ご説明頂いた作り方はこんな感じ>
まずテーマを考えてデッサンを描く。
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次に石膏板に下絵と逆になるようにうつして削り、型を作る。
灰色のリモージュの粘土を型に押し付け、余分な粘土を切り取る。
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↑ ドーナッツ形石膏板を削って型を作る。               この様に立体的な型もある。

8日間乾燥させてから980℃で1回目の焼成
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筆を使って釉薬を施し、960℃で2回目の焼成。
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↑ 雰囲気を出すために道具を揃えてくださいました^^    焼成1回目素焼き(右)と2回目(左)

フェーヴの裏側には工房のスタンプが押してあります。
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そんなアランさんがフェーヴや陶器の制作を辞めることになったのは、ブルターニュでかつて使われていた仕事の道具等を集めていた趣味が高じて1985年に始めたEcomusée des Vieux Métiers ; エコミュゼ・デ・ヴュー・メティエ
(古い仕事の道具を集めた博物館)でした。古い道具は大好きなので大喜びで見学させて頂きました~♪
(ゴーフリエ、シードル用ボル等々欲しいものがてんこ盛り~♥)
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年々展示品が充実して、今では団体客が引切り無しに訪ねてくるようになり、ヴァカンスを確保するのも難しいほど
忙しくなってしまったのだそう。
職人手作りのフェーヴが大好きな愛好家にとっては残念な限り。
でもこのような地元の古き伝統を後世に伝えることも大切なことですね!
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by Ethno-PATISSERIE | 2010-11-08 10:41 | fève工房 | Trackback | Comments(2)

フランスの伝統菓子 Tourtière ; トゥルティエール  その②

b0189215_16165294.jpgこの地を再び訪れたのは前回から2年後の2002年。
当然のことながら『Foire à la tourtière ; トゥルティエール祭』に合わせて行ってまいりました^^。
お祭りの開催されるPenne d’Agenais ; ペンヌ ダジュネに泊ろうとホテルを探しても見つからなかったので、どこか安くて適当な所を知らないかMme.Salesse;サレッスさんに尋ねてみたら「うちに泊りなさい」という嬉しいお言葉!
お祭りの前日(前回同様^^:)バス停まで迎えに来て頂き、家に到着。
すると、昼間だけ手伝いに来ていると言うサレッスさんのお母さんが出迎えて下さいました。
このおばあちゃまと一緒に畑や豚、兎、牛等の家畜を見学したり、この地方の家庭で作られるお菓子のことや
この地域の俚言を教えてもらったり(例えば単数形la tourtièreはla tourtieraになり、複数形les tourtièresはlous tourtierairesとなるとか…)、この地方のお料理をご馳走になったりと、フランスの農家生活をちょっぴり垣間見ることが出来た、とってもとっても貴重な一日に…。 

そしていよいよお祭りの当日。
早めに家を出て、近くのワイナリー(Château des Ardailloux)やプルーンを栽培してプリュノーを作っている農家
(Les Vergers d’Escoute)を回った後、お祭り会場のあるペンヌ ダジュネへ。
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 ↑ こちらがプルーンの林         まだ青いプルーン、見えるかな?

Lot川を見下ろす小高い丘の上にあり、中世の街並みを残した、小さいながらも魅力的な町!
会場へ到着すると既に沢山スタンドが出来ていてトゥルティエールやその他の物産品も売られています。
このお祭りはConfrérie des tourtéraires ; コンフレリー デ トゥルテライル(トゥルティエールの愛好者団体)主催
なので、最初にこのコンフレリーの衣装をまとった人々がトゥルティエールのおみこし(?)を担いで行進して開会。
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コンクール(コンフレリーのメンバーが出品されたものを審査して点数を付け、合計点の多かった人の表彰)を行ったり、新しくメンバーに加わる人々が入会する儀式も行われました。
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*おまけに偶然にも当日が7月14日(革命記念日)だったので、広場のわきではそのセレモニーまで♪
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この辺りでは本職のお菓子屋さんが作るというよりも「家庭で代々受け継がれてきた」お菓子である為、作る人によってデコレーションの仕方や生地の薄さも様々。
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↑ この4種類を比べただけでもその違い、分かりませんか?

この違いによって味も微妙に変わってしまうと言うのが楽しい所でもあり、 それを一度に食べ比べ(しかも作った人に直接お逢い)出来るという、とても有意義な1日でした。
(*因みに今年のはお祭りは7月11日でした。どんなトゥルティエールがあったのでしょう~♪)



<補足>
*Tourtière ;トゥルティエールとは元々tourte ;トゥルト(蓋付きのパイ、塩味&甘味の両方有)やタルトを焼く道具のことを示す名前でした。
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↑ これが実際に使われていたトゥルティエール

名詞「tourte」 に「接尾辞 -ière」 が付いて、それを作る道具を示す名詞に。
それが時を経て、これで作られたものも意味するようになった言うわけです。




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by Ethno-PATISSERIE | 2010-11-03 17:58 | ②Aquitaine | Trackback | Comments(2)

フランスの伝統菓子 Tourtière ; トゥルティエール その①

フランス南西部で見られるお菓子。地域によって違う名前が付いています。
例えば…
Tourtière ; トゥルティエール=Dordogne県、Lot-et-Garonne県、Landes県
Croustade ; クルスタード=Gers県、Ariège県、Lot県
Pastis ; パスティス=Quercy地方(Cahors ;カオールを中心とする旧州)
           Gers県ではPastis gascon; パスティス ガスコンとも呼ばれる。


生地をごく薄く伸ばして重ねる作り方は古く7-8世紀、ローマ帝国の支配が弱まってきたころ、
地中海沿岸地域がサラセン人によって侵攻されていた時期に遡ります。
711年イスラム帝国(ウマイヤ朝)がピレネー山脈を越え、当時のフランク王国(カロリング朝)へ侵入
占領して行きました。
732年「トゥール・ポワティエの戦い」でシャルル・マルテルがサラセン人を撃破し、退却。
『この時に作り方が伝えられた』と言われています。
とは言えその製造はフランス南西部に限らず、リエージュで料理長をしていたLancelot de Casteauが
1604年に出版した本の中には同じ製法で作られる「tourte」が掲載されています。
また、現在でもオーストリアをはじめとする地域で見られる「Strudel ; シュトルーデル」や
ポルトガルの「Pastéis de tentúgal ; パステイシュ・デ・テントゥガル」と言ったお菓子が作られています。
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↑ Konditorei FercherのMilchrahmstrudel   ↑ Café AndréのPastel de Tentúgal

これらは地中海沿岸の各地で見られるパート・フィロを使ったバクラヴァ系のお菓子と同じ起源を持ったもの
と考えられます。

それまでもこのお菓子に出会ったことはありましたが、作っているところを見たくて、年に一度「Foire à la tourtière ; トゥルティエール祭」を開催しているPenne d’Agenaisの観光局に問い合わせ、デモンストレーションをしてくれる方を紹介して頂きました。
その中で訪問を快諾してくださったのがBonaguil ; ボナギルに住むOdette Salesse ; オデット サレスさん。

この地を訪れたのは2000年の6月。
電車も通っていない所だった為、大方の行き方しか分からないままのちょっぴり不安な旅でした。
(まあ、いつもこんな感じ…^^)
プリュノーで有名なAgen;アジャンから1両編成の電車で30分、Monsempron Libosでバスに乗り換えてCondatで下車。バス停からはSalesse さんが車で迎えに来て下さることになり、なんとか無事目的地へ到着したのでした。
バス停からは2km程のドライブ。途中木陰から現れるChâteau de Bonaguil ; ボナギル城はとても美しく、感動的♪

b0189215_14484264.jpg彼女の家はトウモロコシや穀類、たばこを栽培している他に、牛や豚等も
飼っている典型的な農家。
お宅へ到着すると、新しく家を建てる時に作ったそうで、大きなテーブルを
いくつも並べた広い工房へ案内されました。
さらに奥のダイニングキッチンへ通されて、まずはお味見から♪。

b0189215_1521794.jpg温かくないと美味しくないとのことでレンジで温めたものを頂きました。飼っている豚から作った自家製のパテ等も!
繊細な見た目に反して、ホールの状態で1週間以上日持ちするそうな。
彼女は近隣のお店へ卸したり、直接家でも販売しているそうですが、お店からの注文で数日置くこともあるからと
ラム酒をたっぷり入れるよう頼まれている為、味見させて頂いたものも当然しっかり効いていました。
表面の飾りがとても特徴的で美しい。作り方はおばあさんから習ったそうで、お母さんは作れないとか。
もう30年も作っているベテランです。

さて、いよいよ工房へ移動して作り方を見せて頂きます。
材料は10-12人前で『小麦粉1kg、卵2個、塩、油大匙3杯、バニラオイル、水500ml

生地は水をたっぷり加え、プロ用の大きな生地をこねる機械にかけてから、1時間寝かせたものを使います。
寝かせるのは1時間で充分。それ以上寝かせても変わらないとか。粉も油も普通のものを使っているそうです。
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寝かせた生地を白い布を敷いた大きなテーブルの中央に置き、テーブルの長さに合わせて縦に伸ばします。b0189215_15101323.jpgb0189215_15113783.jpg

端から生地をのばしながらテーブルの周りを2周。これであっと言う間にテーブルいっぱいに広げられました。
テーブルからはみ出した部分をナイフで切り落とします。
(切り取った生地は1つにまとめて水を加え、再びこねて再利用。それでも残ったものは焼いて豚ちゃんのおやつに)
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次に、上に吊るしてあるガスのラジエーターをテーブルの上に移動させて点火。これで生地を乾かします。
夏の間はあっと言う間に乾くそうですが、この時期(6月)は乾燥に時間がかかるので、これを使わないと
かなり時間がかかるそう。


この他に2~3個生地を伸ばす作業をしましたが、1個だけ私もやらせて頂きました。
とっても柔らかい生地なので思い切ってやらないとすぐに伸びてしまって、折り目が出来たり、穴があいてしまいます。
(というよりも実際、穴を1つ作ってしまいました…^^;)。

生地がある程度乾いて透明になってきたら(パリパリに乾燥させないのがポイント)、ローラーを使って溶かしバター
を塗ります。刷毛では時間がかかり過ぎるので、ローラーを使うことを思いついたそう。
(おばあさんの頃はガチョウの脂を使い、ガチョウの羽根で塗っていました)
そして全体にグラニュー糖を軽く振ります。

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型には大中小の鉄製フライパンを使用。
オーブンへ入れやすいように柄を短く切断してあります。これに油を塗って使います。
(小さいサイズは4人分。中位のサイズにはテーブル2台分の生地が必要になる)

テーブルナイフで適度に乾燥した生地を適当に丸く切って型に敷きます。
何枚か重ねて、リンゴを乗せる前には型に合わせて丸く切ったものを重ねていました。
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リンゴはフランスで多く栽培されているpomme golden ; ゴールデン・デリシャスを使っています。
皮をむき、半分に切って芯を取り、薄切りにしたものを、中央からあまり重ねないようにして並べて行きます。
バニラオイルを加えた水を小さなコップ1杯注ぎ、さらに同量のラム酒を注きます。
(想像していたよりも液体が沢山入るのでビックリ!)
  
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その後さらに生地を重ね、最後は少し小さめに丸く切った生地の一方にひだを寄せて丸め、全体にきれいに並べて
終わり。(この上の部分に使う生地は乾燥しすぎていないものが作業しやすい)
あとは中くらいのオーブンで45分焼いて完成!

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この菓子は元々カーニヴァルのお菓子だったそうです。
シンプルな身近にある材料で出来るわりには豪華なので、お祝い事にも多く作られたことでしょう。
甘いデザートだけではなく、一昔前には『la tourtière au poulat et au salsifis ;鶏肉とサルシフィ(西洋ごぼうと
呼ばれる根菜)のトゥルティエール』と言った料理も作られていたそうで、おばあさんたちの中には今でも作る人がいると
聞きました。(ボナギルの北部にあたるドルドーニュ県では観光客向けにこの料理を出す所があるようです)

7月の第2日曜日には行われるお祭りではTourtièreを作る人が何人も集まってものすごい数が販売されるとか。
「今度はもっと色々なトゥルティエールが食べてみたい!」と、再訪を誓ったのでした。(その②へ続く…)


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by Ethno-PATISSERIE | 2010-11-01 16:08 | ②Aquitaine | Trackback | Comments(2)