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「Le Cion ;シオン」という名のお菓子

『L’Ascension(キリスト昇天祭)のお菓子 「Corniottes ;コルニオット」』のブログ(ココ)で名前だけご紹介した
お菓子です。

Le Cion ;シオン」はBresse louhannaise ;ブレス・ルーアネーズと呼ばれる地域のスペシャリテ。
フロマージュ・ブランを使ったtarte au fromage ;タルト・オ・フロマージュ、あるいは
flan au fromage ;フラン・オ・フロマージュの種類に入るお菓子です。
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                                 ↑ 焼き立てのシオン

* フランスには県など行政区分とは別に、自然地理区(region naturelle)と呼ばれる地域区分があり
地形などの物理的特徴や独自の文化的アイデンティティによって分けられている。
ブレス地区はローヌ・アルプ、ブルゴーニュ、フランシュ・コンテの各県にまたがり、
Bresse bourguignonne ;ブレス・ブールギニヨンヌ
Bresse de l'Ain ;ブレス・ドゥ・ラン
Bresse jurassienne ;ブレス・ジュラシエンヌと呼ばれる3つの地域に分かれる。
ソーヌ・エ・ロワール県の東部に位置するブレス・ブールギニヨンヌは
更に Bresse louhannaise ;ブレス・ルーアネーズとBresse chalonnaise ;ブレス・シャロネーズに分かれている。


スペルは「cion ;シオン」の他にscion, s’cion, shion等と書く場合もあります。

なんだかフランス語っぽくない、ちょっぴりカワイイこの名前^^
気になって色々と探してみたのですが、どうしてもその由来は分からず…。
他に「tarte au quemeau ;タルト・オ・クモー」という別名もあって、こちらの方は広い地域で見られる名前です。
* 同様のお菓子はフランス北東部で広く見られる。

quemeau ;クモ―」 と言う語はブレスの俚言で「フロマージュ・ブランと生クリーム或いは牛乳、卵を混ぜたもの」を
指し、甘味・塩味の両方に使用されます。
古くはパン生地で作ったガレットの上にのせて焼いていました。
* シオンは甘味バージョンのみ。別の地域には「Fra ;フラ」と言う名前で塩味バージョンが作られている。

作り方は地域や家庭によって変化はありますが、大体こんな感じ。
沸騰させた牛乳にセモリナ粉を入れ、濃度が出るまで煮る。
これを冷ましたものに、水けをきったフロマージュ・ブラン、砂糖、塩、卵を混ぜる。
パート・ブリゼを敷いた型に入れてオーブンで焼く。

これにフルーツ等を加えることはありません。


このお菓子、年中作られているというお話でしたが、
Louhans ;ルーアンでは取材させて頂いたPâtisserie aux Fiançailles ;パティスリー・オ・フィアンサイユ
でしか見つけることは出来ませんでした。
しかも「シオン」という名前では無くて「Flan Fromage blanc ;フラン・フロマージュ・ブラン」と言う
ごく普通の名前…。
せっかくカワイイ名前が付いているのにもったいない!
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                             ↑ ショーウインドー内のシオン


さて肝心のお味の方ですが…。
訪問時、タイミング良く焼き立てのホヤホヤがテーブルに♪
フロマージュ・ブランのあっさりとした味といくらでも食べられそうなくらいの軽さで、とっても美味しい!
(冷めると多少しぼむので焼き立ての方が見た目も美味しそうですが、冷めても美味)

この辺りは同じようなお菓子が、名前も様々に存在していて興味深いです^^



                                      ※※※


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by Ethno-PATISSERIE | 2012-06-01 11:12 | ⑤Bourgogne | Trackback | Comments(2)

Le Nougat de Tours ; ヌガー・ドゥ・トゥール

Indre-et-Loire県の県庁所在地Tours ; トゥールのスペシャリテ「Nougat de Tours ; ヌガー・ドゥ・トゥール」。
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                     ↑ Le Livre Tournois(Poirault)のヌガー・ドゥ・トゥール

パート・シュクレに小さく角切りにしたフリュイ・コンフィと杏のジャムを敷き、アーモンドプードル・砂糖・卵白で出来た
マカロナードをかぶせ、表面に粉糖を振って焼いたタルトです。
本来はalberges ;アルベルジュと呼ばれる、種と果肉がくっついて外れない種類の杏から作るジャム、
confiture d'albergesを使いますが、オレンジ・マーマレード等も使われています。
* ヌガーというとヌガー・ドゥ・モンテリマールのようなコンフィズリーが思い浮かぶかもしれませんが、
このようなタイプのお菓子もヌガーと呼ばれます。
*Jules Gouffé (1807 – 1877)著「Le Livre de Pâtisserie」の中ではnougats d’abricots ;ヌガー・ダブリコ、
ブリオッシュ生地の上に杏のジャムを重ね、アーモンドスライス等を振りかけて焼いたヌガー等が掲載。
Pierre Lacam (1836 – 1902)著「Le Mémorial historique et géographique de la pâtisserie」では
同じnougats d’abricots ;ヌガー・ダブリコの名前で、ブリオッシュの代わりにパータフォンセを使用。


1998年から、このお菓子の販売促進活動を行っているConfrérie Gourmande du nougat de Tours ;
コンフレリー・グルマンド・ドゥ・ヌガー・ドゥ・トゥールのサイトによれば、
この菓子の最初のルセットは1865年頃に遡り、レストランオーナーシェフCharles BARRIER氏(故人)の蔵書の中にあったモナコ大公シャルル3世(1818-1889)の料理人が書いた本の中に見つけ、お客に勧めるお菓子があまり無かったことから1970年代に作りだしたのだとか。
*このコンフレリーでは年に一度、プロ向けのコンクールを開催。
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                           ↑ こちらは小さな1人前サイズ

パティスリーで販売されるようになったのは1992年で、最初に売りだしたのはPoirault;ポワローというお菓子屋さんだという話もありますが、真偽のほどはいかに?
(この店では「Le Véritable nougat de Tours(本物のヌガー・ドゥ・トゥール)」の名前で販売)
*「第二次大戦前に流行していた」という説もありましたが
美食家CurnonskyとAustin de CROZEの書いた「Trésor gastronomique de France(1933年)」という
フランス各地のスペシャリテについて書かれた本の中にはPruneaux fourrésは載っているもののヌガーは無し。



現在、伊勢丹新宿店で開催中のフランス展(4/18-23)では ルレ・デセールのメンバーでもある
La Chocolatière;ラ・ショコラティエールのヌガー&その他の商品が販売されていますね♪
(こちらは杏ジャムの代わりにオレンジマーマレードを使用です)
 


                                      ※※※


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by Ethno-PATISSERIE | 2012-04-19 22:46 | ⑦Centre | Trackback | Comments(2)

le Cacou; ル・カクー

サクランボは果物の中でも特に好きなものの1つ。
フランスへ行くのはこの季節ばかり選んでいた時期もあったほどです。

今では流通に適した、限られた品種が多く販売されていますが、各産地へ行けば地元だけで消費されている品種にも出会うことができます。
サクランボに限らず、お菓子に使われる果物はそのような地元で栽培される品種が使われていました。
ですから、お菓子の故郷を訪ねて地元でしか出会えない品種を探して食べることも私にはとても大切なことで楽しみの1つでもあります。

さてこのCacou、見た目はリムーザン地方のスペシャリテであるクラフティとあまり変わりませんが、
ブルゴーニュ地方Paray le Monial; パレ・ル・モニアルという町のお菓子です。
クラフティ同様 種付きのブラックチェリー入り。

b0189215_15243651.jpgParay le Monialには立派なbasilique du Sacré-Cœur; サクレクール大聖堂がある他、
17世紀にmonastère de la Visitationの修道女Marguerite-Marie Alacoque (1647-1690;で後に聖列に加えられ、sainte Marguerite-Marie;
聖マルグリット・マリーとなる)のもとにキリストが現れたこともあり、先のローマ法王ヨハネ・パウロ2世も訪れたという巡礼の地でもあります。


Cacouにはguigne*と呼ばれる系統の地元の品種が使われていたそうで、今ではもうほとんど見られなくなったと言います。

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*フランスでは
cerises douces(Prunus avium) ;甘果桜桃と
cerises acides (Prunus cerasus) ;酸果桜桃の
2つに分けられ、
前者は主にmerise,guigne,bigarreauの3つに分けられます。
 


1972年、この菓子を守り受け継ぐという目的でConfrérie des Francs-Cacous;コンフレリー・デ・フランカクーが
作られ、年に1度、Pentecôte ;聖霊降臨の主日(復活祭後7度目の日曜日)から2週間後の土曜日に
chapitre publique (お祭りのようなもの)が行われています。


b0189215_15341623.jpg私がこのお菓子を求めてこの町を訪ねたのは2003年。
このchapitreが行われる1週間ほど前の
ことでしたが、ここの会員となっているCharles Pubill氏の店に、会長さんはじめ
コンフレリーの方々が集まって、
Cacouを食べながらお話をお聞きする集まりを開いてくださいました。
合わせるのは白ワインのMâcon Viré。

「その昔Jean-MarieCACOUが考案した…」という伝説も残っていますが、本当の起源は残念ながらよく分からないようです。


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by Ethno-PATISSERIE | 2010-06-05 15:59 | ⑤Bourgogne | Trackback | Comments(7)