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Berawecka ; ベラヴェカ

日本でも見られるようになった「Berawecka ; ベラヴェカ」。
*日本では「ベラベッカ」と書かれることが多いようですが、「ベラヴェカ」の方がより発音に近いです。
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↑ こちらはMaison Ferberのベラヴェカ

洋ナシやプルーン、イチジク、レーズン等のドライフルーツとナッツ類、
そしてシナモンやナツメグ等のスパイスにパン生地を加えて作るこの菓子は
クリスマスシーズンに作られ、パン・デピスやヴァン・ショーと共に
クリスマス市に欠かせないものです。
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↑ 乾燥させた洋ナシ

クリスマスの真夜中のミサへ行く前に食べる習慣もあり、
かつては「新年のパン」「年賀のパン」として新年の挨拶に訪れる家族や友人たちに出される習慣もありました。

フルーツの保存法として最も古いものは、乾燥することだったことは想像に難くありません。
このドライフルーツにスパイスを加えて作られるこの菓子がアルザスに見られるようになったのは
中世のことだと考えられています。
(BieraweggaとHutwelbrotと言う名前が1557年のある文書に記載されているとか)

フランス語らしからぬこの「Berawecka ; ベラヴェカ」と言う名前は
フランスの方言の1つであるアルザス語。
フランス語に訳すとPain aux poiresですがPain aux fruitsとも書かれます。
因みに現在のアルザス語では
洋ナシ=フランス語Poire=アルザス語Beera
小さなパン=フランス語Petit Pain=アルザス語Wäckla
ベラヴェカ=フランス語Pain aux fruits=アルザス語Beerawäcka
となっています。


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↑ Maison Feberのベラヴェカ。色々なドライフルーツが入っていてそれぞれが瑞々しい。

アルザス語の発音は地域(村や町等)によって音韻が異なり、
特に南部と北部での差は大きくなります。
地域のより発音に近いつづり字が使われた為、この菓子の名前も様々な表記が見られます。
例えば名詞の語尾は、南部では「-e」ですが、北部では「-a」になります。
その為ベラヴェカも南部は「Berawecka 」、北部は「Berawecke」に。


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↑ コルマールのHelmstetterでクルミなしと聞いて購入。フルーツの形はあまり分からずコンパクトな印象。

ただし、これ以外にも名前はBierawecka,Bireweck,Hogui,Hoguey,Ogey等々沢山あり、
出来あがりのお菓子も日本で多く見られるようなドライフルーツの塊のようなパン生地の少ないもの、
パン生地が多めに入っているもの、ドライフルーツをパン生地で巻きこんだもの等、
地域や作る家庭によって様々です。

アルザス北部Bas-Rhin県で作られる伝統的なberaweckeは
パン生地(ブリオッシュ生地)でドライフルーツを巻いたタイプで、
南部Haut-Rhin県のBerawecka はドライフルーツに少ないパン生地を混ぜたもので作られる
日持ちのするタイプと大きく分けられるようですが、
今日お店で見られるのは後者のタイプばかりで、前者タイプは家庭で作られることが多いようです。

こちらの映像では最初に前者タイプのベラヴェカを作っているところが見られます。

前者のタイプはかつて、12月24日の午後に各家庭で焼くばかりの状態まで仕込んだものをパン屋へ持っていき、
焼いてもらうということも行われていました。

オー・ラン県西部リボーヴィレ郡で話されているロマンス語方言welcheウェルシュを話す地方ではhoggeï(Hogey, hoggeï,Ogey...)と言う名前で呼ばれ、これもパン生地で巻いたタイプです。


アルザス地方以外にも同様のお菓子は南ドイツ、オーストリアのチロル地方でも見られます。
・「Hutzelbrot ;フッツェルブロート」この名前はアルザスでも見られます。Hutzelは林檎や洋ナシを干したもの(恐らく同様の意味を持つアレマン語のHutzeに由来すると思われます)。
・「Kletzenbrot ;クレッツェンブロート」Kletzenはバイエルン・オーストリア語で乾燥させた洋ナシのこと(Kletzenは複数形、単数形はKletze)。これはまた「Früchtebrot ; フリュヒテブロート(=フルーツパン)」とも呼ばれます。


↑ Hutzelbrotを作っているところが見られます。

また、オー・ラン県に隣接するロレーヌ地方、ヴォージュ県Saint-Dié-des-Vosgesの地域にも
同様にクリスマス時期に食べられるお菓子「Pain Gallu ;パン・ガリュ」があります。
別名Rama, Raimâtと言い、これは「ライ麦パンの生地に乾燥させた洋ナシを混ぜたもの」を
意味する名前に由来するとされていますが、現在ではドライフルーツやナッツに
生の洋ナシやリンゴを加えて作られている点が、上記のものとはちょっと違います。
(ベラヴェカよりもパン生地が多め)

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↑ こちらは姫路のステラベーカリーさんがわざわざクルミ無しで作ってくださったベラヴェカ♥

他のドライフルーツ入りパンとの違いは、名前の由来にもなっている通り
ドライの洋ナシを使っているか否かという点ですね。


アルザスだけでも色々な名前・種類のあるベラヴェカ。

初めて食べたのは2004年、フェルベールさんの取材に行った時でした。
クルミアレルギーなので、それまで食べてみようと思ったことはありませんでしたが
せっかく頂いたものだし、ここのなら絶対に美味しいはずだからと、クルミに注意しながら
薬を片手に食べたのでした^^


これだけ種類のあるのが分かると、食べ歩きをして
どこでどんな名前・タイプが作られているのか検証してみたくてたまらなくなってきます。
(クルミアレルギーじゃなければ、きっと実行していたはず…)



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by Ethno-PATISSERIE | 2011-12-28 01:23 | ①Alsace | Trackback | Comments(2)