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Le Soleil de Marcillac ;ソレイユ・ドゥ・マルシヤック

Marcillac-Vallonはフランス南部、Midi-Pyrénées地方Aveyron県にある町で、県都であるRodez(ロデズ、patois;俚言ではRodès;ロデスと発音)の北西に位置しています。
Vallonが小さな谷を意味することから分かるように小さな渓谷となっており、斜面を利用してブドウ(95%がMansois;マンソワの地元名を持つ品種Fer Servadou)が植えられ、AOC Marcillac(1990年~赤・ロゼ)が造られています。

この町で作られているお菓子のスペシャリテがSoleil de Marcillac ;ソレイユ・ドゥ・マルシヤック
(同じ谷内にある別の町でもそれぞれにSoleilが作られています)
「Soleil」はフランス語で「太陽」を意味し、和訳すると「マルシヤックの太陽」という名前になります。
円形で、まわりにあるギザギザが太陽光線を表しているのだそう。
オレンジフラワーウオーターで香り付けし、上にはアーモンドとあられ糖が振ってある素朴な焼き菓子。
(ナッツはホールのノワゼットが使われることもありますが、元々は地元で採れる胡桃が使われていたそうで
注文すれば胡桃に代えてくれる店もあります)

b0189215_16235461.jpgいつからあるのか?どうしてこの形なのか?などは残念ながら全く分かっていません。1940年以前からパン屋がパンの焼成後、他のfouace;フアスやタルトと一緒にこれを焼いていて、それは現在のものとほとんど同じものであったことが分かっている程度。

この地を訪れたのは2002年7月のことでした。ヴァカンスシーズンも始まり、この辺りにも多くのヴァカンス客がいて、かつて塩が地中海から馬で運ばれていたのを再現するイヴェント等も行われていました。
夏でもこの辺りは交通の便が悪くタクシーでの移動を覚悟していましたが、車で移動するヴァカンス客のお陰で2回も目的地まで送ってもらうことが出来ました。
マルシヤックへもそのおかげで無事到着!
                            
↑ 近くにあるSalles-la-Sourceの滝


この町のパン屋さんMichel Estève氏に取材をお願いしたのですが、この方は既に引退していた為
Michel Varin氏がソレイユの成形法を実演してくださいました。

作り手によって違いますが基本的な作り方はこんな感じ。
b0189215_16135853.jpgb0189215_16144375.jpgb0189215_16162486.jpg
・小麦粉、砂糖、卵、バター、塩、オレンジフラワーウオーターで生地を作り、寝かせる。
・丸く平らに伸ばして周囲に切込みを入れて2本1組でクロスする。
・真ん中に十字の切込みを入れて折り返し、表面を卵でドレし、アーモンドスライスとあられ糖を散らす。
・200度のオーブンで焼く。

b0189215_16211067.jpgb0189215_16545837.jpg途中Estève氏と地元紙の記者が来て逆取材。
その後、場所を移し観光局や町の方々が集まってこの付近で作られている3種類のソレイユと冷えたマルシヤック・ロゼで歓迎してくださいました。



↓ 左からThierry Rossi(Marcillac), Azaïs(Marcillac), Boyer(St Christophe-Vallon)
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このように町ではお客さんが来るとこの2つで迎える習慣があるそうです。
また結婚式の祝杯に添えられたり、家族や仲間同士でカフェを飲む時1切れ買って一緒に食べるという習慣もありましたが、現在ではそれも廃れつつあるのだとか。
今でも変わらず続いている習慣は、毎年lundi de Pentecôteの日(聖霊降臨祭の月曜日)に行われるMarcillacのブドウ栽培者のお祭り「La Saint-Bourrou」のミサでは必ずソレイユとマンソワ(マルシヤックのワイン)で終ること。

Saint-Bourrouはマルシヤックのブドウ農家の聖人。Bourgeon(ラングドック語でBourrou) de la vigne;ブドウの新芽に由来する聖人です。冬の間枯れ枝のようだった枝が無事に新芽を出し、沢山実がなることを願うもので、それに太陽の形をしたお菓子を組み合わせるというのはとても自然な感じがします。
「このお祭りの為に作られたお菓子」というのは間違いないようですね。
(Aveyron県ではこの近くにvins d’Estaing,vins d’Entraygues、また東部にCôtes de Millauがありますが
いずれもVDQS。AOCはMarcillacのみ)


おまけのFour Communal
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by Ethno-PATISSERIE | 2009-09-06 17:10 | ⑯Midi-Pyrenees | Trackback | Comments(4)

Les Madeleines de Proust (Illiers-Combray)

マドレーヌは様々な研究テーマの中でも特に愛着を感じるお菓子。
ぷっくりしたおへそのある貝殻の形がなんとも愛おしく、いつどこで誰がこの形で焼き始めたのか?
なぞに満ちた、研究心をくすぐるお菓子です。

日本ではお菓子屋さんに必ずあるアイテムで1つずつ包装されて販売されていますが
フランスではお菓子屋さんというより、大きな袋入りのものをスーパー等で買うイメージ。
また、マドレーヌをスペシャリテにしている町もいくつかあります。

Marcel Proust(1871-1922);マルセル・プルーストの本に出てくるマドレーヌのお話は、
実際に本を読んだことが無い人でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
(お気付きの通り、ブログのタイトルはプルーストの「A la recherche du temps perdu;
失われた時を求めて」をもじったものです笑)

b0189215_18504142.jpg私が最初にIlliers-Combrayを訪れたのは1991年9月のこと。
2度目の留学の時、RouenにあるINBPという国立製菓・製パン学校へ入る前、
フランス各地を転々と移動しながら語学学校に通っている時でした。

元はIlliersという名前でしたが、プルーストがCombrayという架空の名前で小説を書いたことで有名になり、1971年、プルースト生誕100年を記念してIlliers-Combrayに改名されています。
実際この町は父の生まれ故郷。
マルセルが小さい頃、この町にある叔母Elisabeth Amiotの家でヴァカンスを過ごしたのだとか。

b0189215_21245784.jpg本に出てくるMaison de Tante Léonie;レオニ叔母さんの家はプルースト博物館になっていて見学可能。(写真→)2階にある叔母さんの寝室にはマドレーヌが置いてあり、まるで物語の世界に入り込んだよう。
「ここで紅茶(或いは菩提樹のハーブティ)にマドレーヌをひとかけら浸し、スプーンですくって…」とまるで今小説の中にいるかよう…。


b0189215_185486.jpgこの近くに「レオニ叔母さんがマドレーヌを買っていた」という看板を掲げるというお菓子屋さんがあって、袋入りのマドレーヌを買うことが出来ます。

こちらは最初に訪れた時のお菓子屋さんとマドレーヌb0189215_17233662.jpgb0189215_1715269.jpg

b0189215_1826113.jpg2度目に訪れたのは2006年10月
車でノルマンディーへ行く途中、またマドレーヌを買いたくて。
お店が全く変っていなかったことはビックリと同時に嬉しいものでした。
(でも前には無かった箱入りが登場…。とはいえ所有者のChristian Védieさんは代わらずそのまま !)
こちらは2回目に訪れた時。↑上と全く同じでしょ?(笑)
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b0189215_18221182.jpgここのマドレーヌの特徴は丸っこい形。
一般的なものは細長いものですが、より帆立貝に近いこの形が私のお気に入り。

マドレーヌがスペシャリテになっている町はスペインのサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼道沿いにあると言われ、巡礼の印で器としても使われていたという帆立貝とマドレーヌを結びつけて考えられています。
この町にある教会の名前はEglise Saint Jacques;サン・ジャック教会。
やはりこの町も巡礼道上にあったのでした。

さて、小説の主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にして、幼少期の出来事を思い出したように、
味覚や嗅覚からふと過去の記憶が蘇ることを「プルースト現象」等と呼ばれますが、
私にとって薪で燻された香りがそれにあたり、両親の実家で過ごした夏休みのことが鮮明に蘇ってきます。

あなたにとって「プルーストのマドレーヌ」は何ですか?



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by Ethno-PATISSERIE | 2009-06-03 21:52 | ⑦Centre | Trackback | Comments(2)