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Fèves de Clamecy(Faïencerie Colas)  フェーヴ・ド・クラムシー

b0189215_16574362.jpg現在フェーヴはかなり大雑把に分けるとフランスの小さな工房で作られるものと、大きな会社が主にアジアで生産しているものがあります。

アンティークを除いて私が惹かれるフェーヴは80年代以降現れるようになった職人によって手作りされている小さな工房のものです。
主にフェーヴ製造を中心にしているところ、陶磁器を作る職人が
パン屋さんなどの依頼を受けて作っているところ、フェーヴ好きが高じて作り始めたところなど様々ですが、工房ごとに味わいが異なり魅力的なものが多いのです。
↑Clamecyを流れるYonne川

b0189215_1753323.jpg初めてフェーヴ工房を訪れたのは2006年6月。
Clamecy ;クラムシーにあるFaïencerie Colasでした。
(ここで作られるフェーヴは「fèves de Clamecy」と呼ばれています)
クラムシーはブルゴーニュ地方Nièvre県にある小さな、でも歴史のある町。
Neversからバスで行くつもりだったのが、ちょうどlundi de Pentcôteに
当たってしまいバスの運行がなかった為、タクシーでの訪問となりました。

→ Faïencerie Colasのお店

b0189215_17202658.jpgFaïencerie de Clamecyは1760年、Fidèle Nolet氏によって創設されました。
その後生産が落ち込み、ベルギーのアーティストAndré Duquenelle氏が
1918年この地の窯に再び火をともします。
近くの採掘場で採れる粘土、窯の燃料になるモルヴァン山塊の森の木、商品を運ぶ運河の交通路と、ここには必要なものが全て揃っていたからでした。
彼が退職した1937年、クラムシー焼きのスタイルや装飾を作り出していた
一番の職人Roger Colas氏が跡を引き継ぎます。
そして彼の後を継いだのは息子のJean-François Colas氏。1972年のことでした。    ↑お店の看板

メールで見学を申し込んではいたものの日時までは決まっておらず、工房の場所も分からなかった為ちょっと不安だったのですが、Alexandreさん(Jean-Françoisの息子)が快く案内してくださいました。
(彼は10年ほど前からこの仕事についています)。
工房は1918年から同じ場所にあります。
必要に応じて部屋が付け足されていった為、少し迷路のようになっていました。

ここでのフェーヴの作り方はこんな感じ。
①下絵を描く。
②粘土で原型を作る。
③原型から石膏で型を作る。これがmère de moule ;型の原型となり、これから複製の型がいくつも作られる。
b0189215_19122529.jpgb0189215_19132320.jpgb0189215_19142566.jpg

↑ 左;液体粘土 中;石膏型とフェーヴ 右;乾燥後型から出したフェーヴ

④こうして出来た型にla barbotine ;液体粘土を流しいれるか、固形の粘土を型押ししてフェーヴの形が作られる。
⑤前者のようなcoulage ;流し込みによって型入れしたものは2日程乾燥させて型から取り出す。スポンジで余分な
ところを丁寧に取り除く。
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↑ 左;小さい窯(他に大きいのもある)  中;彩色用の色粉  右;彩色中(こちらはロウソク立て)

⑥1度目の焼成;800℃に熱した窯で夜、一晩かけて焼く(HPには20時間程かかると書いてある)。
1日おいて冷めてから取り出す。→これがbiscuit ;素焼き
⑦彩色家の手により筆で彩色される(クロモリトグラフィで彩色されるものもある)。
⑧釉薬の薄い膜を吹きかける。

b0189215_19402355.jpgb0189215_19341016.jpgb0189215_19452851.jpg
↑左;下絵と彩色したもの  中;左は釉薬をかけたもの、右はかける前  右;手前が金彩を施したもの、後ろは3度目の焼成後

⑨2度目の焼成;1000℃に熱した窯で焼く。不透明な釉薬が透明になり、彩色した色が発色し定着する。
⑩一部のフェーヴには金彩が施される。この場合は700℃に熱した窯でもう一度焼成する。


b0189215_19521085.jpgフェーヴは早くて販売する3年前からデザイン等の準備を始めるそうです。
1年半前には見本品を作り始め、年頭に行われるパン屋や菓子屋などプロ向けのSalon等で翌年の1月に販売されるガレット用のフェーヴを発表します。
あらかじめ素焼きの状態まで仕上げておき、1年の後半になってから注文に応じて
仕上げ、年末に注文者へ配送されるのです。


b0189215_21181836.jpgフェーヴの製造を思いついたのは彼の父Jean-François Colas氏で、80年代のことだと言います。(BotellaさんとJoannèsさんの本「Les Fèves des Rois」には「主に1981年からフェーヴの製造が増え始めた」とあります)
伝統的なFaïence d’artの市場が下り坂になり、その一方で当時使われていたプラスチック製フェーヴにはがっかりしていた彼はEpiphanieのある日、かつてのような陶器製のフェーヴを作ることを思いついたのだそうです。

← 左側がJean-François さんで右側がAlexandreさん

b0189215_21303430.jpgアジアから輸入される安価なフェーヴに対抗する為にブランド力を強化し、周辺国への販売ネットワークも確立。
有名なパリのパティスリーからの依頼で、指定されたデザイナーのデザインによるフェーヴ作りも行いつつ、オリジナルでスタイリッシュな、コレクターにも人気の高いフェーヴを作っています。

→ お店の一角にあるフェーヴコーナー
b0189215_21334441.jpg 勿論それまで作っていた伝統的な陶器の製造も続けており、
割合は半々位とバランスを保っています。
お店では蝋燭立てやマスタード入れのような小物も販売していてお土産に
ピッタリ。
観光客も大勢訪れていました(フェーヴを買っていたのは私だけ…^^;)。

←こちらはテーブルランプのベース。このあとシェードと電球等が付けられる。これも伝統的な製品。

この時期はまだあまり忙しくないそうで、Colas親子と絵付けをしている女性の3人しかいませんでしたが、同時期Saint Yrieix La Percheで見学したリモージュ焼きの大きなmanufacture ;製陶所とはまた一味違う、温かみの
ある工房でした。

メモ;Fèves de Clamecyの色々なタイプ(表・裏)
b0189215_235165.jpg b0189215_2354974.jpg
・裏がへこんでいるのは液体粘土が使われているから(下段両端と上段中央)
・お店の注文で作られたものは裏にお店の名前が入る
(下段中央は表に名前が入っているためか裏にクラムシーの名前がある)
・上段中央、ガレットに入っていたフェーヴである為、裏の素焼き部分は色が変っている


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左;Cabosse(カカオの実)形のフェーヴ、素焼きと完成品/割れた石膏の型
(資料用にいただきました。コピーを作られる可能性もあるので型の処分は重要)
中;裏にはそれぞれスタイルの異なる「CLAMECY」の文字が…
右;ショコラトリー・パティスリー用に作られたCabosse形の器とフェーヴ






Faïencerie d’Art COLAS  1 place de la Gravière 58500 CLAMECY
Les Fèves de Clamecyについてはこちらのサイトをご参照ください。
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by Ethno-PATISSERIE | 2009-07-20 13:37 | feve工房 | Trackback | Comments(6)
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Commented by paris-antique at 2009-07-22 09:15
おはようございます(^^
素晴らしい記事で,すっかり読み入ってしまいました!
美しいyonne川の近くの小さな工房で作られている,3年がかりのフェーブって・・・それだけで愛おしい気持ちになります。
私はいつもニースの骨董市のフェーブ屋さんで,1個1ユーロちょっと(笑)のものを買うのですが,もっと色々探してみようと思いました!

お菓子会・・・8月後半~1ケ月ちょっとフランス出張なので
その前後でぜひぜひお願いします♪
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2009-07-22 14:41
◎ paris-antiqueさん
ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです♪
ニースならきっと南仏ならではの古いフェーヴが色々見つかるのでしょうね~。
古いフェーヴはあまり持っていないので、いつかご紹介ください!

わ~い、お菓子会!こちらこそよろしくお願いします♪
いつでも呼んでくださいネ~(楽しみ~☆)
Commented by lecahierbleu at 2009-07-23 00:49
すごい!さすがです~~。本当にすばらしい記事!!
クラムシーのフェーヴ、歴史に製法に、じっくりお勉強させていただきました。
1918年から同じ場所に工房があるのですね~。いまだ行く機会がないので、いつかぜひ訪ねてみたいです。私も蝋燭立ては買わずにフェーヴだけを延々と眺めていると思います~~(笑)。
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2009-07-23 12:19
◎mikaさん
フェーヴ工房にも詳しいmikaさんにお褒め頂き嬉しいです(感涙)!!
半日もあればまわりきれる位小さな町ですが、歴史もあり景色も美しい町ですから、時間のあるときに是非♪
Commented by M at 2013-05-01 10:10 x
クラムシーの工房の建物が素敵ですね。
お店の看板も陶器がぶらさがり、可愛らしい。
カカオの実のフェーヴ、いいですね。好きです。
こんなに詳しく見学されて羨ましいです。
ここの工房は、本当素敵!
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-05-02 09:54
Mさん ここの工房は申し込めば誰でも見学することが可能です。本物の職人さんの作業を解説付きで間近に見られるのはとても勉強になります!
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