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リモージュ製のフェーヴとLaplagne;ラプラーニュ(製)と呼ばれるフェーヴ

b0189215_2391698.jpgそれまで使われていた本物のフェーヴ(フランス語でソラマメのこと)や
インゲンマメの代わりに磁器製のフェーヴが使われるようになったのは1874年以降のこと。フランス製ではなく、ドイツ製でした。
← 実際に使われていた様々な「フェーヴ;本物の豆」
フランス製のフェーヴが作られるようになったのは第一次世界大戦中(1914年-1918年)の1916年。
磁器製造で有名なリモージュで2つの会社がその製造を行っていました。



フランス北部で陶器製造業に従事していたMartial Ducongé氏が故郷のリモージュへ戻り、1916年「Le Biscuit Français」と言う名前の小さな磁器製造会社を創設し、地元のパン屋に頼まれて手に入らなくなったドイツ製のフェーヴを真似て、後にbaigneursと呼ばれるようになる人形を作り始めたのが最初です。
(この会社は後にRanque Ducongéとなり、1974年Limoges-Castelに買収、1987年フェーヴの製造を終了)

さてLaplagneの方ですが
上記の会社で働いていたMousset氏が同僚のLéon Cloups氏と共に1924年「Mousset et Cie」を創設しフェーヴの製造を始めました。
1934年Mousset氏が亡くなるとCloups氏が全てを引き継ぎ「Cloups et Cie」と名前を変えます。
詳しい理由は不明ですが、Cloups氏と上記の会社との間に問題が起きて裁判となり、その後1940年に工場は閉鎖されました。
つまりフェーヴの製造は1924年から1940年の間で「Laplagne」の名前では製造されていないので、「Laplagne製のフェーヴというものは存在しない」ことになります。
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↑ 当時使われていた商品見本


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↑ 左;2枚1組の型で形を作る(よく見ると全て違う形のフェーヴ)。  
  右;型に付くためこのように1つずつ丁寧に剥す必要がある。

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 ← 同じ形ばかりの型も。



第二次世界大戦中、Cloups氏の娘がHenri Laplagne氏と結婚。
1964年夫婦はCloups氏の跡を継ぎ「Laplagne」の名前で工房を再開しますがフェーヴの製造は行わず、
白いリモージュ焼きの小物を中心に製造しています。
これらは個人やプロ向けの絵付け用製品で、主にアメリカ(日本にも)輸出されています。
Henri Laplagne氏はModeleurs et mouleurs en plâtre(原型と石膏型を製造する職人)部門のMOF
(1968年)となっており、彼らの娘であるNadène Laplagneさんも優秀な職人。1995年に会社を継いでいます。
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↑ 現在作られている商品の1部。
   左;ミニチュアを組み合わせたPetit déjeunerのセット 
   中;エキスポ用に作られたBûche de Noël形ボックス 
   右;ボックスの裏側。H.LAPLAGNEのロゴが入る(注;お皿に接着してあったものである為、跡有り)


昨年11月、このLaplagneの工房を訪れる機会がありました。
始めの計画では本などから調べたフェーヴ会社の住所を訪ね「当時の面影を感じることが出来れば」と思っていただけでしたが、リモージュで待ち合わせた知り合いにここへ案内され、ここがLaplagneであると知った時は、どんなにビックリしたことでしょう!

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↑ 左;作品を利用した表札   中;看板           右;奥行きのある工房

会社創建当時に作られた古い窯や当時からの石膏型やフェーヴの型が全て残されていることには驚きました。
(リモージュでこのように古い窯はごくわずかしか残されておらず、とても貴重)
円柱形をした窯は上下2つの部屋に分かれており、上部は950℃で素焼き、下部は1400℃で釉薬をかけたものを同時に焼くことが出来る構造。 

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↑ 左;古い窯の上層 中;cazettes(casettes)この中に作品を入れて窯内へ 右;窯の内部

b0189215_16244051.jpgこの工房のあるところはリモージュの中心街から北西の位置にあり、近くにはGare de Montjovisがあります。
もう1つのGare des Bénédictinsとは違って今ではあまり使われていませんが、この線路が開通したお陰でここまで大量の石炭が運ばれるようになり、この駅の近くに磁器の窯を持つ工房が多く作られたそうです。
(以前は町の南東を流れるVienne川の近くに製陶工場が沢山ありました。
これは窯の燃料であった木を筏に組んで運んだ為)

                            → Montjovis駅

b0189215_16511151.jpgLaplagne夫妻は非常に親切で温和なのですが、BotellaさんとJoannèsさんの共著である本の中で「Mousset」或いは「Cloups」の時代に作られたフェーヴに対し、Laplagneの名前を使われたことに強い憤りを感じていたそうですが、Joannèsさんの近著の中でその点を明確にしてくれたことで、やっと溜飲の下がる思いだったといいます。
← Nadène Laplagneさん(もちろん右側)

b0189215_16551969.jpgお店には小さくてフェーヴとして使えそうなものも沢山飾ってありましたが、フェーヴとして使う目的で作られたものではない為、フェーヴではありません。

→ ミニチュアのホタテ貝、パイプ、歯
(フェーヴではなく、ペンダントヘッドになる穴あきタイプも有)



また昨年6月17日から9月14日までリモージュのHôtel de Villeで行われていた展示会
Féerie de Porcelaine」に使用するために依頼され、かつてフェーヴの製造に使われていた型を使って同じものを再現したそうです。
その時に作ったものをお土産にいくつか頂きましたが、これもやはりフェーヴとは言えません。
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↑ 左&中;エキスポでつくられた飾り  
 右;左側は今回新しく作られたもの(フェーヴではない)。右側はフェーヴ(素焼き)。
 同じモデルの型が使われているが素焼きのままよりも釉薬をかけて焼いたものの方が縮む為若干大きさが異なる。


リモージュにおけるフェーヴ製造の歴史を調べている時、「もうフェーヴは作っていなくてもこの町のどこかにきっと古い型やフェーヴの資料が残されているに違いない」と思っていたのですが、縁あって創業当時と変らぬ同じ場所にあり、古い窯や型が素晴らしい状態で保存されているLaplagneの工房を見学することが出来、とても有意義な旅でした。




LAPLAGNE Henri s.a.r.l24 rue Gallieni  87100 Limoges

あらかじめ頼んでおけば、古い窯の見学も可能。サイト内には工房の紹介ビデオもあります!
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by Ethno-PATISSERIE | 2009-07-31 18:41 | feve工房 | Trackback | Comments(2)
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Commented by M at 2013-05-06 12:50 x
ここのフェーヴも細かくて可愛いですね。
Petit déjeunerのセットやBûche de Noël形ボックスなど楽しいですね。2枚1組の型で形を作るんですね。
歯のフェーヴ面白い!こう言う細々としたのも好きだなぁ。
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-05-07 07:34
Mさん お店には沢山の細々したものが飾られていて、ワクワクでした♪絵付け用の白い食器は日本にも輸入されていると知り、ここの工房がより身近に感じました。
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