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Fèves Marlène; フェーヴ マルレーヌ

今回ご紹介するのは、もう製造を終了しているフェーヴ工房です。

工房があったのはPicardie地方Oise県にあるCuigy en Bray ; キュイニー・アン・ブレィ。
以前ご紹介したフェーヴ工房「Nigon ; ニゴン」と「Carreaux de Ponchon et fèves ;ポンションのタイルと
フェーヴ」の辺りからもほど近い場所にあります。

元々熱心なフェーヴコレクターだったDenaux;ドゥノー夫妻が所縁のあるこの地に引っ越してから暫くたった1989年、
小さなフェーヴ工房を創設しました。
(*Alain Denaux; アラン・ドゥノー氏は公務員で副業を持つことが出来なかった為、息子であるPatrice;パトリス
名義に…パトリスさんは当時学生で製造には関わっていません)
工房の名前は奥さまのミドルネームMarlène ;マルレーヌから付けられました。
(*ファーストネームはEveline ;エヴリヌ)。

◎頂いた写真を並べると制作の流れは次のような感じだったと思われます。
注;写真と説明の無いところもある為、違う可能性もあります。

奥さまがテーマを選んでデッサンを書き、それを元にアランさんが原型を作って、シリコンで型を取る。
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粘土を型に詰めて抜く。(裏にはMarlène のスタンプが押される)
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表面をきれいに整えて窯入れ(←素焼き;900℃位)
細長く切った紙の上に素焼きのフェーヴを並べる。
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彩色する。 
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釉薬をかけて( ?写真無)、)窯焼き(900℃)位する。 
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*金彩を施したものは、金彩後450℃でもう一度焼きます。

最初に作られた記念すべきフェーヴはtêtes de Coq ;雄鶏の頭、tête de mouton ;羊の頭、petits chats ;猫。
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b0189215_11494379.jpg← 因みに最初のfève personnalisée ;お店用オリジナルフェーヴはOise県にある
大手スーパーIntermarché Goincourtの為に作られたものでした。


製陶業で有名なピカルディーの土で作られるマルレーヌ製フェーヴはパン屋さんお菓子屋さんから高く評価されていました。
b0189215_11512910.jpg1990年2月に行われたEuropain(パリ郊外ヴィルパント見本市会場で行われる
パン・菓子屋向けの国際見本市)では、粉を扱う業者からの注文でユーロパンのロゴに
デザインされていた(現在では別のものになっています)「フランスパンを持ったベレー帽を被る女性」のフェーヴが作られました。
Alain氏によれば「フェーヴは少量しか作られず、ガレットに入れてサロンに訪れた客に配られていたと思う」とのこと。
ユーロパンへは1992年に行ったことがありました。90年だったらこのレアなフェーヴに巡りあっていたかも?なんて(笑)。

b0189215_11533479.jpgまた、1992年にはピカルディーのパン・菓子屋組合からピカルディーのロゴを使ったフェーヴ
(4万5千個 !)の注文が入り「tradition Picarde」のバターを使って作られたガレット・デ・ロワに入れて販売されました。
ロゴ入りのフェーヴには4色の色違いがあり、青色のフェーヴが入っていたらガレットを
もう1つプレゼント!
裏に92という数字の書いてあるフェーヴが入っていると抽選で「ピカルディー地方の観光地で
過ごす週末旅行が当たる!
」というピカルディー地方のプロモーションイベントに使われました。

b0189215_11554135.jpg*92の数字入りフェーヴは1/100の割合で作られました。
*他のフェーヴには「traditions picardes marlène」の文字が
入っています。
*4万5千個のうち数千個には要望によりパン屋さんの名前が
入れられているそうです。

製造を終えたのは1994年。
マルレーヌが製造を開始した1989年は奇しくも現在最大手となっているPrime ;プリム社の
創設された年でもありました。
この頃からアジア製といった安価なフェーヴが出回り始め、フランス製の手工業的なフェーヴは徐々に肩身が
狭くなっていったのが大きな原因だったと言います。
また、跡を継いでくれるのではないかと期待していた子供たちが別の道を選んだことも原因の1つでした。

陶器製フェーヴの制作は終了しましたが、その後1度だけ2つのお店の為にフェーヴが作られています。
昔作られていたLivres Cartes ;リーブル・カルトと呼ばれるフェーヴに使われていたものと同じ位の大きさの小さな板
(骨製;牛や象牙)の在庫を閉店前のアトリエで見つけ、いつかこのフェーヴを再現したいと考えていたドゥノー氏の所に
製造を終えてから12年後、2つのパン屋さんから2007年用フェーヴの注文がきます。
ドゥノー氏のアイディアに意気投合し、それぞれのお店に1シリーズずつのLivres Cartes ;リーブル・カルトの
フェーヴが作られました。
b0189215_11573788.jpg← こちらはSeine-Maritime県Aumaleにある「Boulangerie du Moulin;
ブーランジュリー デュ ムーラン」の為に作られたフランスの王&王妃を
モチーフにしたLivres Cartes 。
写真はルイ16世とマリーアントワネット。
16組+ジョーカーの17種類あります。

b0189215_1204748.jpg← こちらの方はOise県Mortefontaineにある「La Boulangeoise ;
ラ ブーランジョワーズ」用でトランプがモチーフ。
こちらはジョーカーを入れて5種類作られました。


これらのフェーヴは骨製の小板2枚に印刷された紙を張り付けたもの。
でも、どうやって紙を貼ったフェーヴを入れるのでしょう???
アランさんにお聞きすると紙面を内側にして折りたたみ、ガレットの焼きあがった後に入れるのがポイントなのだと
教えてくださいました。
*折りたたんでも紙の部分は大丈夫?と気になっていましたが、ガレットの出来た後に入れれば大丈夫なのですね~♪

マルレーヌの魅力を教えてくれたのはフェーヴコレクター友達のMikaさんでした。
彼女のブログ(こちら)でマルレーヌの赤いフェーヴが紹介されていて「素敵♥」と思ったのです。
それまでマルレーヌの赤いフェーヴをまとめて見る機会がなかったので気付きませんでしたが、
並べてあると何とも魅力的!

で、アランさんに「マルレーヌの赤はとても素敵ですけれど何か秘密があるのですか?」尋ねてみたところ「秘密などありません。使われた材料と焼成温度が関係しているだけ。確かにフェーヴメーカーは使っていませんね。成功のカギは
とても微妙な温度管理にかかっているのです」との返事。職人としての誇りが垣間見れた気がしました。

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↑ tarte aux cerises;タルト オ スリーズ(サクランボタルト)のフェーヴ。同じものだと思うのですが、もしかしたら窯の温度が違った結果なのかも?と想像していますが、実際はどうなのでしょう?


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↑ 私のコレクションは「ガレット」「ソラマメ」「クロワッサン」(他にBébé;幼子イエス)の他「お菓子&パン」等
エピファニーと食べ物中心。写真は勿論マルレーヌのもの♥



*これらの記事はマルレーヌ工房のアラン・ドゥノー氏に直接取材し、頂いた資料&写真等を元に許可を受けて書いたものです。写真や内容を他で使用することはご遠慮ください。宜しくお願いします(リンクはフリーです)。
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by Ethno-PATISSERIE | 2010-10-16 13:03 | feve工房 | Trackback | Comments(2)
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Commented by M at 2013-05-08 10:20 x
青色のフェーヴが入っていたらガレットをもう1つプレゼント、
裏に92という数字の書いてあるフェーヴが入っていると抽選でピカルディー地方の観光地で過ごす週末旅行が当たるって太っ腹ですね。
これは、ワクワク楽しいですよね。
タルト ・オ ・スリーズ、クロワッサン、パンのフェーヴが可愛くていいなぁ〜。
ここのフェーヴ楽しいです!
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-05-09 15:23
Mさん フランスでは沢山ガレットを買ってもらう為に、抽選付きのものや貴金属の当たるもの等々、毎年色々販売されて楽しいですよね^^
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