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Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…

このお菓子はブルターニュ地方のSt Brieuc ; サン ブリユーから南東へ10km足らずの所にある
Yffiniac ; イフィニャックという町のスペシャリテ。11月にしか作られないお菓子です。
一昨年ブルターニュを大きくぐるっと一回りした際、
わざわざLa Fête des Chocards ;ショカー祭りに合わせてこの地を訪れました。
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イフィニャックへはサン ブリユーからバス(50番と60番)が出ており、
所要時間は15~20分ほど。
この町のバスターミナルには沢山の停留所があって
どこからどこ行きのバスが出るのかが非常に分かりにくくなっているため、
案内所のお姉さんに確認しても「乗りたいバスが本当にここに来るのか?」とっても不安でした。
(当然のように?バスは定刻通りに到着せず、焦るばかり…)

とは言え、ちゃんとバスに乗ることが出来て
海岸沿いを通る車窓からの風景を楽しみつつ無事イフィニャックへ到着。

お祭りの方は田舎で良くある移動式の小さなメリーゴーランドや屋台が並ぶのみで
私が街にいた1時間半程度の時間にはこれといった催しはありませんでしたが
やっぱりお祭りは楽しい♪
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この町では古くから11月の第4月曜日に大規模な家畜市が開かれていました。
年を経て家畜市は廃れて市だけが残り、それも1980年代には廃れてしまいました。
それを1984年にLa Fête des Chocards ;ショカー祭として復活させます。
現在では近郊の町でも季節になるとこの菓子が見られるようになる程
認知度が高くなりました。

この町でショカーを作っているお店は4件。
実際に買えたのは「La Grange à Pains ; グランジュ ア パン」と
Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_14583445.jpg← La Grange à Pains
「Michel Domalain ; ミッシェル ドラマン」の2種類でした。

最初に入ったお店で『ドラマンさんのお店で古くから作られていた』と教えて頂きこちらのお店へ。
Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_1522372.jpg
広い店内は素朴ながらも歴史が感じられ、ショーウインドーの飾りも賑やか。
Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_1564315.jpg ← カメ?
沢山買うとお買い得になる値段設定になっています。Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_1582662.jpg
忙しい接客の合間を縫って奥さんのエレーヌさんにお話をお聞きしました。

ドラマン家は6世代以上前からこの町に住んでおり元々はboulanger;パン屋ではなく
fournier(家庭で捏ねたパン生地を焼く仕事)だったのだとか。
20世紀初頭にはパイ生地ではなく、パン生地が使われていたそうです。
時代と共に徐々に改良されて現在の形に変わっていったのですね。

18世紀にはまだ知られていなかったようなので
恐らくそれ以降に出来たと思われますが、
この変わった名前の由来などははっきりと分かっていません。

chocardという言葉は隠語でchoucaという言葉に置き換わり
「お祭りだ!」とか「美人が通るのを見た!」という時に使われる言葉なのだとか。

またchocardはヨーロッパや中央アジアの高地に住むキバシガラス、
choucaはカラス属で最小のニシコクマルガラスのことで
ヨーロッパを中心に広い地域で生息しており、
こちらは家の煙突に巣をつくることもあるようです。
(両者の名前はしばしば混同されることがあります)

ご主人ミッシェルさんのおじいさんは、丸パンの生地の上にリンゴを乗せて焼き
「ほらchouca(ニシコクマルガラス)だよ!」と言ったというエピソードもあるとか。
(最初は亀みたいな形と思っていましたが、
なるほど、そう言われると菊型で抜いた生地が巣を表現していて丸いところが鳥をイメージしている?
ようにも見えてきたりして…^^)

残ったパン生地に収穫したリンゴを詰めて焼くというお菓子は
フランスでも広く行われたお菓子です。
この町では家畜市が秋のリンゴの季節に行われていたことから
リンゴのお菓子が売られるようになったというのはごく自然な流れですね。

最後にミッシェルさんも奥の仕事場から出てきてくださり、写真をパチリ。
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とっても恥ずかしがり屋のご主人と社交的なマダムが切り盛りするパン屋さん。
ひっきりなしにお客さんがやってきて、このお菓子を半ダース、一ダースと買っていきます。
素朴だけど皆が大好きで、誰もがこの季節を楽しみにしている様子が伝わってきました。

見た目はどこのお店も同じで、小さくて丸いドーム状。
生地は菊型で抜いてあります。
ガルニのリンゴですが「グランジュ ア パン」の方はグラニ・スミスの単独使用。
Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_15191089.jpg ← 「グランジュ ア パン」の
ショカー

「ドラマン」の方は色々な品種を混ぜて、調度いい味に調節しているそう。
Chocarts d’Yffiniac ;ショカーと言う名前のアップルパイを食べに…_b0189215_15222123.jpg ← 「ドラマン」のショカー
小さい角切りにして、あらかじめ煮てあるものをたっぷり詰めいてありますが
それほど甘くなく、とっても上品な味。
パイ生地からはみ出たシロップの部分がカリッとしていて、これまた美味しい~♥



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Commented by M at 2013-03-14 08:37 x
リンゴのお菓子って大好物で、フランスのパン屋では、必ず、
ショッソン・オ・ポム、タルト・オ・ポムを買って食べるんです。
ショカーこれは、大好きに違いありません!
パイ生地からはみ出たシロップの部分がカリッとしていてってところからもうたまりませんねぇ。
ブルターニュはサンマロしか行った事が無く、そば粉のガレットが美味しいですよね。お菓子も美味しい所ですね!
Commented by Ethno-PATISSERIE at 2013-03-14 23:17
Mさん リンゴのお菓子がお好きならこれはお勧めです!限られた期間しか販売されませんが、そんな販売の仕方もまたいい感じですよね^^
by Ethno-PATISSERIE | 2011-06-02 15:50 | ⑥Bretagne | Trackback | Comments(2)

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