Pentecôte(聖霊降臨祭)のお菓子「Le Colombier ;コロンビエ」
2012年 05月 24日
復活祭から数えて(復活祭当日を含む)50日目にあたり、今年(2012年)は5月27日がその日です。
復活したキリストが弟子たちに「近いうちに聖霊が降りる」ことを告げて天に昇り(キリスト昇天)
それから10日後、ユダヤ教の祭事暦で言う五旬節の日に集まっていた弟子たちのところに大音響と突風の
聖霊降臨の出来事に結び付けられ、収穫感謝の意味はなくなる。
* 美術表現では使徒たちの上に聖霊の「白鳩」が下降すると共に頭上には「炎のような舌」が描かれる。
さてPentecôte ;パントコート(聖霊降臨祭)のお菓子「Le Colombier ;コロンビエ」のお話・・・。
実際にいつ頃から作られるようになったのかは不明ですが、このようなお菓子はかつてフランス各地で作られていました。
マルセイユのコロンビエにはこれにキルシュに漬けたムロン(メロン)コンフィが入っています。
19世紀末「Gâteau de la Paix ;ガトー・ドゥ・ラ・ペ」や「Gâteau Porte-bonheur ;ガトー・ポルト・ボヌール」という名前のお菓子が見られ、ガレット・デ・ロワのフェーヴ同様、Colombe ;コロンブが中に入っていました。
ガレット・デ・ロワのフェーヴ同様、中に小さな白鳩(Colombe ;コロンブ)を入れてくじ引きをするお菓子で
「Qui la Colombe aura dans l’année se marira ;コロンブの入っていた者は一年以内に結婚する」
と言われています。
「Colombier ;コロンビエ」というのはフランス語で「鳩小屋」を意味し、「Colombe ;コロンブ」は
平和の象徴、三位一体の「聖霊の象徴」でもあり、聖霊降臨等で主要なモチーフとなっています。
現在コロンビエはマルセイユのスペシャリテとして、聖霊降臨祭の前後一週間程の期間限定で買うことが出来ます。
そしてこの菓子の起源は、この町の創設者とされる「Gyptis ;ジプティスとProtis ;プロティス」の伝説にちなんだもの。
というものです。
この伝説を元に、
マルセイユの「Colombier ; コロンビエ」は1906年に行われたコンクールの際、マルセイユのパティシエによって考案されたものだといいます。
しかし、なぜこのような運試しを聖霊降臨祭の日に行うのでしょう?
コロンブがキリスト教では聖霊の象徴とされているので、聖霊降臨祭の日に食べるお菓子ということはしっくりきますが、なぜこれが「一年以内に結婚する人」を引き当てるお菓子とつながったのか? がちょっと謎に感じます。
さて、コロンビエの中に入っている陶器或いはプラスチック製のフィギュア、
* 厳密に言えばガレット・デ・ロワに入っている(入れられた)ものだけをフェーヴと呼ぶことが出来る
マルセイユのあるパン・菓子職人の組合Maison des Patissiersでは1997年に「LE COLOMBIER」を
恐らく組合に加入しているお店だけがこの紙のテープとコロンブを使用することが出来るのでしょう。
ここのお菓子にも同じ紙が巻いてあり、同じコロンブが使われています。
◎こちら★(LE COLOMBIER de Provence- Marseille 2011)でも紹介されていました。
◎マルセイユのLa Pâtisserie Plauchut(創業1820年)のHPでも紹介されています。
オレンジピールが入ってるとは、美味しそう!
マルセイユのは、キルシュに漬けたムロンコンフィが入ってるとは、珍しい!
鳩のコロンブ、初めて見ました。良いですね。可愛らしい。
このお菓子食べてみたいと思いました!