人気ブログランキング |

<   2019年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

パン粥を焼いたお菓子? Bettelmann;ベテルマン

アルザス語でBettelmànn(又はBattelmànn)と言う名前を持つこのお菓子は、
現在のグラン・テスト地域圏の旧アルザス地域圏を中心に広く一般的にみられ、
フランス語では
Mendiant;マンディアンと呼ばれています。いずれも「物乞い」の意味を持つ言葉。
ちなみにBettelmannはドイツ語でも「物乞い男」の意味

いつ、だれがこの名前を付けたのかは不明ですが、
残ったパンを利用して作る再生菓子であることに由来しているように思います。

家庭で作られるほか、パンを再利用するだけに主にパン屋さんで見かけます。
ロレーヌ地方ではミラベルを使用する等の特徴も見られますが一般的にはリンゴやサクランボ等、
その季節に手に入るフルーツを加えて作られ、円形に焼いてタルトのように切り分けたり、
四角く焼き、四角くカットして売られています。

b0189215_20395595.jpg


大まかな作り方はこんな感じ
ちぎった残り物のパン(主にパン・オ・レ、その他バゲット、ブリオッシュ、クグロフ、スポンジ等でもOK)に温めた牛乳を加えてふやかし、崩す。
砂糖、シナモンパウダー、卵黄を混ぜ、キルシュに漬けたレーズンと薄切りのリンゴやサクランボを加え、
最後に泡立てた卵白をさっくりと混ぜ、バターを塗った耐熱容器に流す。上にパン粉、砂糖、ナッツなどを散らしオーブンで焼く。

出来立ての温かいものにアングレーズソースなどを添えて頂くのが美味しいです。

パンをふやかして良く崩している為、パンプディングというよりもパン粥を焼いた感じになって、また違った味わいになります。
温かいうちに食べるのが一番美味しいですが、翌日以降冷えたものは、再びトースターでこんがり焼くのがお勧め。

b0189215_20454769.jpg


フランス各地の食に関するスペシャリテを網羅する「L’inventaire du patrimineculinare de la France」のAlsace地方版によると
『現在は軽い食事のデザートとして、或いはおやつとして食べられているが、かつては肉のない時期に食べられることが多く、野菜のポタージュの後、メイン料理として出されていた』、『現在は軽い食事の際にデザートして食べられる』
と書かれています。

b0189215_20534224.jpg


歴史的にもあまりはっきりとしていないようですが、1671年に出版されたアルザスのシトー会修道士Bernhard(Bernardin) Buchinger(1606~1673)による料理本『Koch-Buch』の中にはフライパンで焼くスタイルのものが紹介されているとか。

b0189215_13440499.png

今日と同じスタイルのルセットは1829年に出版されたMarguerite Spoerlin(1762~1852)La Cuisinière du Haut-Rhinの中に見られGâteaux de fruits en pain(P-169)」と言う名前で紹介されています。

b0189215_13503531.jpg

フルーツはサクランボ、プルーン、ミラベル、アンズ、グロゼイユ(スグリ)、干しプラムやブルーベリーが列記されており、
現在のようにりんごやサクランボに限らず、手に入る季節のフルーツを使って作られていたことが分かります。
*1833年に出版された第二部の中ではフルーツを入れない「Crême de pain faite au fourという名前のルセットが紹介されている


季節のフルーツをたっぷり入れたベテルマン、どうかお試しを…。



※※※


by Ethno-PATISSERIE | 2019-07-31 20:58 | ①Alsace | Comments(2)